非居住者に不動産の賃借料を支払う場合、一定の場合を除き源泉徴収しなければなりません。今回の事例は、不動産の貸主が海外勤務となったことにより、居住者から非居住者へ変更となったにも関わらず、その旨の連絡がなかったため、賃借人は非居住者となっていた事実を知らず、源泉徴収が漏れてしまったという事例です。税務署は不納付加算税を課しましたが、裁決では、源泉徴収漏れとなったことについて「正当な理由」があるとして、不納付加算税が取り消されました(平成25年5月21日裁決)。

事実関係

  1. Xは、賃貸人Yとの間で平成17年9月に店舗等の賃貸借契約を締結した。
  2. Yは、日本の航空会社に勤務していたが、平成22年11月に退職し、その後、韓国の航空会社に就職するため、平成23年11月に出国した。それにより、平成23年11月以降、Yは非居住者に該当することとなった。
  3. Xは、平成24年1月分と2月分の賃借料を、それぞれ平成24年1月20日及び2月20日にY名義の預金口座に振り込んだ。
  4. Yは平成24年3月24日付で「非居住者に対する源泉所得税の免除証明書」(以下「本件免除証明書」という)の交付を受けた。なお、免除証明書の有効期限は平成25年3月21日までとなっていた。
  5. Xは、平成24年4月17日にYから店舗等の管理を任されている管理人を通じて「本件免除証明書」の提示を受けた。その際に本件免除証明書の発行日から平成25年3月21日までに支払う賃借料については源泉徴収を行う必要がない旨の説明を受けたことから、その時点で初めて賃貸人Yが居住者から非居住者となったことを知った。
  6. これを受け、Xは、平成24年4月26日に平成24年1月及び2月に支払った賃借料に係る源泉所得税を納付した。
  7. 税務署は、源泉所得税の納付が期限後であったため、平成24年6月26日付で不納付加算税を賦課した。Xは、この処分を不服として審査請求した。

争点

通則法第67条第1項は、源泉徴収税額が法定納期限までに完納されなかった場合には、不納付加算税を徴収する旨、また、同項ただし書には、法定納期限までに納付しなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、不納付加算税を課さない旨規定している。

この事案の争点は、ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当するか否かである。