5.その他

ここまで損益計算書を中心に見てきましたが、それ以外で金額的に大きな項目をとりあげます。

(1) 配当

* 支払日ベース

継続的に利益処分=配当を行っています。配当総額では、2018,2020年度が9億円弱、それ以外の3年が4億円程度となっています。
他法人を見ると、トーマツは有配と無配が混在、新日本とあらたは無配となっており、法人間での政策の違いが見えます。

社員一人当たりの配当推移も記載しておきます。

(2) 長期貸付金

長期貸付金が年を追うごとに増加しています。貸借対照表注記を見ると、長期貸付金の残高とおおむね同額が関係会社に対する長期金銭債権に計上されており、おそらくはグループ会社に対する貸付金であると想定されます。貸付金が監査法人の運営に必須とは想定しづらく、この辺りの資金の流れははっきりとしない印象です。

最後に

4大監査法人のうち、業務収入で2位につけるあずさの決算を5期にわたって見てきました。2017年度には監査契約の新規受注停止と非監査業務クライアントの減少がありながらも業務収入は継続的に増加傾向にあり、2019年度以降は1,000億円を超えています。一方利益面では人件費増加に加え、施設関連費用や情報システム関連及び通信費、またグローバル加盟料も増加しており、緩やかな増加に留まっています。
2021年度の決算においては、監査業務収入でEY新日本にさらに迫れるのか、もしくはあずさがトップに立てるのか。またCOVID-19が本格化する中、各種費用や利益はどう推移するのか、注目です。

 

【脚注・出典】
*1 各法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」については以下を参照
有限責任監査法人トーマツ:
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/audit/stakeholder.html
有限責任あずさ監査法人:
https://home.kpmg/jp/ja/home/about/azsa/stakeholders.html
EY新日本有限責任監査法人:
https://www.shinnihon.or.jp/about-us/our-profile/stakeholder/
PwCあらた有限責任監査法人:
https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/assurance/public-inspection.html

【参考】
「令和2年 モニタリングレポート」、公認会計士・監査審査会、
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20200714/2020_monitoring_report.pdf


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