2021年1月から、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため緊急事態宣言が再度発出されておりますが、その影響で売上が減少した中小法人や個人事業主に対して、一時支援金が給付されます。中小法人は60万円、個人事業主は30万円(いずれも上限額)の支援金となっています。その対象者や手続きについて、現在分かっている情報をお伝えします。

■一時支援金の概要

この一時支援金制度は経済産業省が行っており、「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金」と言われるものです。新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により、売上が減少した中小企業・個人事業者に対して、一時支援金が給付されます。

○対象者

次の2つの要件をどちらも満たす事業者が対象となります。

1.緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けた事業者

2.2019年または2020年と比べて、2021年1月,2月,3月いずれかの月で売上が50%以上減少している事業者

なお、この両方を満たす事業者であれば、緊急事態宣言の対象地域でない事業者も対象となります。

ここで、飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けた事業者として、どのような事業者が対象となるのか気になるところです。これについて経済産業省の資料には、次の事業者が対象となりうると例示されています。

  • ・飲食店
  • (ただし、都道府県から時短営業の要請に伴う協力金を受給している飲食店は、一時支援金は受給できない)
  • ・飲食店と取引している事業者
  • 食品加工事業者(惣菜製造業者、食肉処理業者など)
  • 器具・備品事業者(食器・調理器具の販売業者など)
  • サービス事業者(接客サービス業者、清掃事業者など)
  • 流通関係事業者(卸、業務用スーパーなど)
  • 生産者(農業者など)
  • ・主に対面で個人向けに商品・サービスの提供を行う事業者
  • 旅客運送事業者(タクシー、バス、運転代行など)
  • 宿泊事業者(ホテル、旅館など)
  • 観光・遊興関連施設事業者(文化施設、映画館、カラオケ、公衆浴場など)
  • 小売店(土産物店、雑貨店、アパレルショップなど)
  • 対人サービス事業者など(旅行代理店、イベント事業者、理容店、美容店、クリーニング店、マッサージ店など)

なお、上記の例示事業に該当しなくとも条件を満たせば給付対象になるとされています。

公募要領は今後公表されますが、対象になるかどうか不明な場合は事務局に問い合わせるのが確実でしょう。

参考:経済産業省 一時支援金 「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の概要について」

https://www.meti.go.jp/covid-19/ichiji_shien/index.html

○給付額

一時支援金の上限額は次のように定められています。

中小法人:上限60万円

個人事業主:上限30万円

一時支援金の給付額は次のように計算されます。

「前年または前々年の対象期間の合計売上 - 2021年の対象月の売上×3ヶ月」

(ここで対象期間というのは、1月から3月を指します)

たとえば、2021年1月の売上が前年と比べて50%以上減少している中小法人を例に給付額をシミュレーションします。

前年の対象期間(1月から3月)と2021年1月の売上額が次のようであったとします。

2020年1月売上:150万円、2020年2月売上:100万円、2020年3月売上:50万円

2021年1月売上:60万円

このとき、前年の対象期間の合計売上は、150+100+50=300万円となります。

300万円-60万円×3=120万円となりますが、中小法人の上限額は60万円ですので、給付額は60万円となります。