法律には題名を付けることとされていますが、法律が掲載される官報を見ると、「○○法をここに公布する。」という公布文、御名、御璽、日付、内閣総理大臣名及び「法律第△△号」という記載が続きます。法律番号は、数ある法律の中から当該法律を特定するために付されるものですが、今回は、入管法改正から、この「法律第△△号」という法律番号を考えてみましょう。
入管法改正
平成30年12月8日に改正された「出入国管理及び難民認定法」(いわゆる入管法)は、平成31年4月から施行されています。同法改正は、我が国の深刻な労働人口不足へ対応するための外国人受け入れ政策によるものです。
改正入管法においては、新しい「在留資格」が設けられています。
在留資格とは、外国人が日本に滞在中、生活したり、働いたりするために必要な資格ですが、現在は「技能実習」「家族滞在」など29種類あり、それぞれの資格ごとに、日本で行うことのできる活動や滞在できる期間が定められています(最新の在留資格一覧表は、出入国在留管理庁HP参照(http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.html))。
従来、いわゆる「就労ビザ」として働くことを認められていたのは、医師や弁護士など17資格のみで、高い専門性を必要としない単純労働は認められていませんでした。しかしながら、近時、日本で学んだ技能を母国に伝えることを本来の目的とする「技能実習」の枠組みで滞在している外国人が、企業に事実上の単純労働者として雇用されているという現状が問題視されてきました。
新しい入管法では、日本語能力や仕事をするのに必要な技能を試験で確かめ、「特定技能」があると認められれば、就労資格が付与される仕組みとなりました。同法改正は、他の多くの法律にインパクトを与えていますが、経済活動の変容をダイレクトに受ける税務行政にもその影響は及んでいます(入管法の税務上のインパクトを整理した書籍として、酒井克彦編著『キャッチアップ 外国人労働者を巡る税務』(ぎょうせい2018)も参照)。