入管法の法律番号
ところで、この新しい入管法の法律番号をみると、「昭和26年政令第319号」とされています。施行令ではないのにもかかわらず、法律第319号とされているのではなく、政令第319号とされているのです。
法律番号は、かかる法律の改正があったとしても変わらないものであることを考えると、入管法は、当初は政令であったことが分かりますが、なぜ法律として成立しなかったのでしょうか。
実はこれには、第二次世界大戦末期におけるポツダム宣言受諾の影響があるのです。
入管法は、その法律番号からも分かるとおり、終戦直後の昭和26年に制定されています。この当時、我が国は連合国軍の占領下にあり、ポツダム命令(ポツダム勅令・政令・省令)という法形式が存在していました。
その下で、入管法は当時「出入国管理令」というかたちをとり政令の形式で制定されたという経緯があります。その後、「日本国との平和条約」(昭和27年条約第5号)発効後は、法律の効力を有するものとして存続し、昭和56年に題名が「政令」から「法律」に改正されたものの、法律番号はそのまま残ったということです(長野秀幸『法令読解の基礎知識〔第1次改訂版〕』69頁(学陽書房2014))。
なお、上記のとおり法律番号は法律の改正があったとしても変わらないのですが、その対象となっている法律の題名に変更があったとしても、変わらないこととされています(例えば、平成25年に「薬事法」が改正され、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と名称が改正されていますが、法律番号は「昭和35年法律第145号」のまま変わっていません。)。
法律番号は必要?不要?
さて、法律番号とは、公布の際に、暦年ごとの番号を付したものですが、そもそもなぜ法律をナンバリングする必要があるのでしょうか?
法律には個々に題名があるのですから、わざわざ番号を付さなくても良いように思われますが、当該法律を特定するためには法律番号が欠かせないのです。
実は、法律には同一の題名のものが意外と多く、租税法領域ではお馴染みの「租税特別措置法の一部を改正する法律」という題名の法律は、昭和32年から令和2年4月1日現在までの間に、なんと51件も成立しています(参議院法制局HP参照(https://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column031.htm))。
こうした法律を他の法令で引用する場合、題名のみの引用では、果たしてどの法律を引用しているのか分からなくなってしまいます。そこで必要となるのが法律番号というわけです。
租税法を読むに当たっては、法律番号のありがたみを感じなくてはなりませんね。
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