裁判所の判断
争点1:不動産の売主Pは非居住者に該当するか
① Pは平成12年11月に米国住居を購入し、平成13年以降は米国住居において長男と同居して生活していたことから、売買代金の支払日の当時において、Pの生活の本拠は米国住居にあったというべきである。
② Pは、売買代金の支払日以前の1年間において日本に滞在した日数は156日であったことから、支払日時点において日本国内に1年以上居所を有していなかったことは明らかである。
③ 以上のとおり、Pは、支払日において①日本国内に住所を有しておらず、②支払日まで引き続いて1年以上日本国内に居所を有していなかったのであるから、所得税法上の「非居住者」に当たる。
争点2:A社は、売主Pが非居住者であるか否かの調査確認を十分に行っていたか
① A社の担当者は、Pの住所として米国住所を送金依頼書に記入していたこと等に鑑みれば、Pが非居住者である可能性をも踏まえて、Pに対し、その具体的な生活状況等(例えば、Pの出入国の有無・頻度、米国における滞在期間、米国における家族関係や資産状況等)に関する質問をするなどして、Pが非居住者であるか否かを確認すべき注意義務を負っていたというべきである。
② Pの住民票等の公的な書類を確認したからといって、そのことのみをもって、Aが注意義務を尽くしたということはできない。
③ よって、A社は、譲渡対価を支払うに際し、源泉徴収義務を負っていたというべきである。
コメント
不動産業者が直面する源泉徴収の問題の一つが、非居住者から土地等を取得した場合の源泉徴収の問題です。
これまでの判決や裁決を見る限り、買主の源泉徴収義務については、法令に沿った厳格な解釈がなされているという印象があります。
したがって、実務上、土地等の譲渡者が居住者か非居住者かの判定は極めて重要となります。特に不動産売買取引のほとんどは単発取引であり、当事者間に密接な関係がないことが多いことから、売主が非居住者であることに気付かず、源泉徴収を怠ってしまうということが生じやすい状況にあります。
そのため、不動産取引実務において、売主が非居住者であることを窺わせるような事象があった場合には、住民票等の公的書類による確認のみならず、売主の生活状況等を聴取するなど、各種情報を収集するなどして慎重に検討する必要があります。
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