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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:海外取引と源泉徴収⑦ 「みなし国内払い」とは

非居住者に対する国内源泉所得の支払いで、源泉徴収の対象となるのは「国内払い」の場合です。国外で支払われる場合には源泉徴収の必要はありませんが、「みなし国内払い」に該当するときは源泉徴収が必要となります。

「みなし国内払い」とは

非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」といいます。)に対して、国内において源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収し、翌月10日までに納付しなければなりません。

では、国内源泉所得の支払いが「国外」で行われた場合はどうなるでしょうか?

国内源泉所得の支払が国外において行われる場合には、原則として源泉徴収の必要はありません。

ただし、その支払者が国内に住所若しくは居所を有するか、または国内に事務所、事業所その他これらに準ずるものを有するときは、その国内源泉所得を国内において支払ったものとみなして源泉徴収をすることとなっています。これを「みなし国内払い」と呼んでいます。

この場合の源泉所得税の納付期限は、事務手続等を考慮して、翌月10日ではなく、翌月末日となっています。

ケース1

外国法人の日本支店に出向していたエキスパッツ(外国人派遣社員)が日本での勤務を満了し、母国の本社に帰国しました。帰国後に母国の本社から賞与が支払われましたが、この賞与の中には日本国内での勤務対応分(国内源泉所得)が含まれています。この場合、賞与は海外で支払われているので、源泉徴収は必要ないと考えてよいでしょうか?

【回答】

このケースでは、日本国内に支店があるため、みなし国内払いが適用されます。よって、日数按分により算出した国内勤務に起因する部分の金額(国内源泉所得)について、20.42%の税率で源泉徴収する必要があります。

このケースのように、海外の本店から非居住者に対して国内源泉所得の支払いがあった場合にはみなし国内払いが適用されることになります。このみなし国内払いは、課税漏れとなりやすく、税務調査で指摘されることも多いので注意が必要です。

ケース2

外国法人Aの日本支社は、米国の居住者Bが日本国内に所有している貸しビルに係る賃貸借契約を締結しています。この契約に係る賃借料は、A法人の本社が米国においてBに直接支払い、日本支社は、本社に賃借料相当額を送金しています。この場合、賃借料は本社が米国において支払っていることから、源泉徴収は必要ないと考えてよいでしょうか?

【回答】

賃貸借契約の対象となる貸しビルは、日本国内に所在しているため、A法人の本社がBに支払う賃借料は国内源泉所得に該当します。

問題は、Bに対する賃借料は、日本国内で支払われているのではなく、本社が米国において支払っていることから、このような国外で支払っているものまで源泉徴収の対象となるのか、という点です。

これについては、上述のとおり、非居住者等に対し、源泉徴収の対象となる国内源泉所得を国外において支払った場合であっても、支払者が国内に事業所や支店等を有する場合には、国内において支払ったものとみなして源泉徴収をすることとなっています。

このケースの場合は、A法人の本社が米国内で賃借料を支払っていますが、A法人は日本国内に支社がありますので、この賃借料は日本国内において支払ったものとみなされます。

よって、A法人の本社がBに賃借料を支払う際に源泉徴収し、これを日本支社が、その支払った日の属する月の翌月末日までに、支払額に20.42%を乗じた額を所得税として納付しなければなりません。


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著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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