3.請求人の主張
請求人は、本件取引に先立ち、G社との間で、G社に対して送付する郵便物1個当たりの価格を300J国ドルとする旨の合意をした。したがって、本件取引における郵便物1個当たりの価格は、いずれも300J国ドル[1]であり、20万円を超えていない。本件取引に係る郵便物は、いずれもその価格が20万円以下であるので、全て簡易郵便物に該当するところ、請求人は消費税法施行規則第5条第1項第2号に規定する書類等を保存しているから、本件対象物品についても消費税法第7条第2項に規定する証明はなされている。
[1] 裁決書によれば、300J国ドルの邦貨換算額は、3万円に満たない金額とのことである。
4.審判所の判断
(1)法令解釈
消費税法(法7①一、同条②及び規則5①一、同項二)は、輸出取引について、原則として、輸出許可書等の一定期間の保存を輸出免税規定の適用要件とするが、簡易郵便物として資産を輸出した場合(規則5①二、関税法76①)には、輸出許可書等の保存に代えて所定の事項を記載した帳簿等の一定期間の保存を輸出免税規定の適用要件としている。ただし、その価格が20万円を超える資産を郵便物として輸出した場合、簡易郵便物として資産を輸出したこと(規則5条①二)には該当せず、当該郵便物に係る輸出許可書等の一定期間の保存がない限り、当該郵便物の輸出取引について輸出免税規定は適用されない。
また、消費税法基本通達7-2-23は、輸出時における資産の価額が20万円を超えているかどうかの判定は、郵便物1個当たりの価額による旨定め、関税法基本通達67-1-4は、輸出申告時に貨物代金が未確定である場合は、輸出時見積価格を輸出申告書に記載すべき旨定めている。
(2)検討
請求人は、本件納品書の「price」欄を記載せずに空欄のままG社に送付し、G社は、当該欄に受領した腕時計ごとの金額を記載した上で請求人宛にファクシミリで送信し、当該金額を請求人に支払っていたことからすれば、腕時計の具体的な販売価格は、G社が、腕時計を受領した後、当該腕時計を査定することにより決定されており、輸出申告時点では、取引の対象となる腕時計の価格が未確定の状態で売買したものと認められる。
なお、上記(1)の内容に照らせば、輸出申告時点で資産の価格が未確定である郵便物については、郵便物1個当たりの輸出時見積価格(調達原価に通常の利潤、一般管理費等を加えた額又は値引き等の調整が加えられる前の額)をもって当該郵便物の価格とみるのが相当であり、通常は、輸出時見積価格は調達原価を上回るといえる。本件取引においては、1個の郵便物にまとめられた各腕時計のそれぞれの仕入金額の合計額は、最も少ないものでも20万円の2倍超であり、輸出免税規定が適用されて消費税等の還付金額が発生することがあり得ることを考慮しても、郵便物1個当たりの輸出時見積価格は、いずれも20万円を上回ると認められる。
以上によれば、本件取引は簡易郵便物としての資産の輸出には該当せず、本件取引について消費税法第7条第2項に規定する証明はされていないと認められる。



