令和3年度税制改正の3回目は「カーボンニュートラル投資促進税制」についてお伝えします。これは環境改善につながる設備投資を行ったときの優遇税制です。
■「2050年カーボンニュートラル」とは
最初に、この制度の前提である「2050年カーボンニュートラル」の内容を見てみましょう。
「2050年カーボンニュートラル」とは、2050年、つまり令和32年までに温室効果ガスの排出をゼロにし、脱炭素社会を実現しようというスローガンです。令和2年10月、菅総理大臣が所信表明演説で宣言をしました。以後、経済産業省が中心となって「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定、関連産業分野を14に分けました。脱炭素につながる設備投資や技術開発の促進を経済成長につなげるべく、今、関係省庁が連携して民間企業の脱炭素化を図りやすい環境を整えています。その1つが「カーボンニュートラル投資促進税制」です。
国が予算を組んだり基準を設けたりしても、肝心要の企業が動かなければ脱炭素化は進みません。そこで、優遇税制を設け、企業が脱炭素を実現する設備投資を行いやすい環境を整えたのです。
実際、温室効果ガスの削減につながる設備の需要はありますが、投資額が大きいため、一企業としては二の足を踏みがちです。そこで政府は優遇税制を設け、脱炭素につながる設備需要を押し上げようとしています。