■カーボンニュートラル投資促進税制
ここからカーボンニュートラル投資促進税制の内容を確認しましょう。
●対象となる法人
次の両方に該当する法人が優遇税制の対象です。
・青色申告書を提出している
・改正産業競争力強化法に規定する中長期環境適応計画の認定を受けている
●対象となる設備
この優遇税制は、「2050年カーボンニュートラル」の実現につながる設備投資が条件です。対象となる設備は次のいずれかとなります。なお、投資上限額は500億円です。計画認定制度に基づく必要があります。
1.大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備
機械装置が対象です。温室効果ガスの削減効果が高く、かつ、新たな需要の掘り起こしにつながる製品の生産に使われる設備に限定されます。具体例を挙げると、次のような設備です。
・ 化合物パワー半導体、半導体基板
・ 電気自動車
・ リチウムイオン蓄電池
・ 燃料電池
・ 洋上風力発電設備
2.生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備
機械装置、器具備品、建物付属設備、構築物が対象です。導入することで事業所の炭素生産性、つまり二酸化炭素排出量あたりの付加価値額が1%以上向上するような設備に限定されます。
例えば、外部電力を一部再生エネルギーに切り替えに伴い、生産設備やエネルギー管理設備を新しいものに取り換えたケースです。この取り換えを行い、二酸化炭素の排出量が減っても付加価値が維持できれば炭素生産性は1%以上になるかもしれません。このようなものは、優遇税制の対象となります。
●優遇税制の内容
上記いずれかの投資を行えば、税額控除または特別償却という形で納税額を抑えられます。具体的な数字を示すと、次のようになります。
1.大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備
税額控除10%または特別償却50%
2.生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備
こちらも1と同様、税額控除か特別償却です。ただし「炭素生産性がどれだけ向上するか」で、税額控除の割合が変わります。次の通りです。
・ 3年以内に10%以上向上…税額控除10%または特別償却50%
・ 3年以内に7%以上向上…税額控除5%または特別償却50%
なお、1または2の税額控除額には上限があります。前回お伝えしたDX投資促進税制での控除額とあわせ、「法人税額×20%」までです。
●適用期限
この優遇税制の期限は令和5年度末、つまり令和5年3月31日までとなります。