こんにちは。ベンチャーキャピタルで働く公認会計士の玉木です。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?今年の夏もうだるような暑さが続いていますね。そんな時こそ思いっきり辛いモノを食べるのがオススメです。辛さで暑さなんてどうでもよい気がしてきます。なんの根本的な解決にもなっていませんが(笑)
前回に引き続き、IT・インターネット業界への転職を考える際に知っておきたいトレンドやその解説をしていきます。今回はビジネスそのものというよりも、それらを支えるテクノロジー面のご紹介です。
VR(AR、MR)−今度はブームで終わらない!
VR(バーチャルリアリティ)と聞いて、目新しさよりもむしろ懐かしさを覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。かつてVRが脚光を浴びた時代がありました。任天堂のバーチャルボーイやセガのSega VR1が話題になった1990年代です(今「ああ!」となった方も多いはず)。
当時は次世代の映像体験として各業界、メーカーともにこぞってVR用のデバイスや技術の開発に投資しました。しかしながら、なかなかユーザーの知覚を満足させる水準まで到達することは難しく、コスト的にも重くのしかかったことからブームは徐々に収束していきました。
それから約20年の時を経て、2012年にアメリカのスタートアップ、Oculus社が頭の動きに追従するヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」を発表し、VRが再び世間の注目を浴びるようになりました。
現在ではOculusだけでなく、ソニーやサムスン、台湾のHTC、ASUSなど大手がヘッドマウントディスプレイの開発・販売を開始しています。日本でも、使用者が視線を使って操作するヘッドマウントディスプレイを操作するFOVEや、バーチャル上でのイベントを開催できるプラットフォームを提供するcluster. など、多くのスタートアップがこの分野に参入しています。
人間の想像力にVRの技術が追いついてきたとされる2010年代、これまでSF作品の中で描かれていた世界が現実になるのか楽しみです。
IoT−トイレがインターネットに繋がる本当の意味は?
Internet of Thingsの略で日本語では「モノのインターネット」と訳されます(そのままな感じがしますがそこはご愛嬌)。こちらも概念的にはそれほど新しいものではなく、一昔前にユビキタスといわれていたものの発展版と捉えていただけるとわかりやすいかもしれません。
IoTとは、パソコンやスマートフォンなどのインターネットに接続されることを主眼においた端末以外のモノがインターネットに繋がることや、それによって生まれるサービスのことを指します。何ともわかりにくい説明になってしまいますが、ざっくり言うと、身の周りのあらゆるモノがインターネットに繋がることで生まれるサービス、と理解していただければよいかと思います(だいぶ乱暴な説明ですが……)。
日本でも、スマートフォンを使ってカギの操作ができるQrio Smart LockやAkerun 、遺失物追跡タグのMAMORIOなどのスタートアップが出てきています。従来あったものがインターネットを介したりスマートフォンと連動することでより使いやすくなる、となると従来品の改善というだけでそれほど大きな技術革新ではないような気がしてしまいますが、IoTの本質はそこから取得できる大量のデータを解析し、それをサービスにフィードバックできることにあると言われています。
例えば、SYMAXという日本のスタートアップ企業は家のトイレにセンサーデバイスを付けることで、日々の排泄物のデータを取得し、そのデータをインターネットを介してクラウドへ送り解析し、そのユーザーの健康状態を分析して予防医療に生かすサービスを開発しています。また、日本のIoTスタートアップの草分け的存在であるCerevoは、センサーを搭載したスノーボード用のバインディングを発売しており、滑走中の速度や体重移動のデータを取得・解析することで、ユーザーはスノボ上達のためにどう滑る必要があるか、具体的な練習方法を可視化することができるようになっています。
このように普段の何気ない行動から生まれる大量のデータが解析され、それをもとに適切なフィードバックを得て、生活をよりよく改善できるようになるということに大きなビジネスチャンスが眠っているようです。