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ベンチャーキャピタル(VC)に転職した公認会計士が語る、意外と地道なその実務

こんにちは。ベンチャーキャピタルで働く公認会計士の玉木です。スターウォーズの次は最近DVDで買ったマッドマックスにはまってしまいました。火を噴くギター、欲しいですよね。
近年、会計の経験を持つ方も増えてきたベンチャーキャピタルですが、まだまだ日本では馴染みの薄い業種。ベンチャーキャピタルに転職した理由と、ペンチャーキャピタルのあらましを紹介した前回に続き、今回は投資先の選定から審査・決定を経ての投資先支援、そしてExitまで、ベンチャーキャピタル(VC)の実務についてご紹介していきましょう。

株式会社サムライインキュベート 財務責任者/公認会計士 玉木 諒(たまき りょう)氏

意外と地道なディールソーシング(投資先探し)

VCが投資対象とする企業は未上場なので、自分たちで繋がりを広げて案件探しをしていく必要があります。これがディールソーシングと呼ばれる仕事です。
つながりのあるベンチャー経営者の方からメールなどで問合せをもらったり、紹介を受けたりというありがたいケースもあるのですが、一般的には全体の1割程度でしょうか。だいたいはキャピタリスト(ベンチャーキャピタルで働く人の大半はキャピタリストと呼ばれます。英和辞典などで調べると「資本家」という訳が出てきますが、別にお金持ちなわけではありません)がプレスリリースや各メディアの記事に目を光らせて、気になる会社があれば自らアポを取りにいったり、ベンチャー企業向けのイベントに参加して積極的に人脈を広げたり、さらには自分たちでそういったイベントを開いたりと、アウトバウンドで案件発掘をしていくケースが多いように思います。
VCのキャピタリストというとスマートな印象を受けるかもしれませんが、こういった地道な営業をすることがとても重要だったりします。

目当ての企業に投資できるか―投資審査・決定

投資を受けたいと言ってくれるベンチャーの中から、キャピタリストの目から見て「この会社に投資したい!」と思うところが見つかると、次は投資の審査に移ることになります。
投資の意思決定プロセスはVC各社それぞれ。しかしだいたいのVCでは社内に設置した投資委員会と呼ばれる意思決定機関で、各キャピタリストが上げた案件を様々な観点から議論し、審議していくというプロセスを取っているところがほとんどのようです。
審査の過程では事業やその市場環境、財務、技術、法務といった様々な切り口での調査(デューデリジェンスと呼ばれます)を経て、投資するかしないかの決定がなされます。

名うての投資委員会の面々からの鋭い指摘を打ち返しつつ、裏付けとなるデータ収集や資料の準備など、自身の案件の審査中はキャピタリストも気の抜けない日々が続きます。各VCの審査プロセスや案件にもよるようですが、審査やデューデリジェンスには少なくとも1ヶ月、長いと数ヶ月はかかることが多いようです。

めでたく投資委員会を通ったら、ほっと一息つくのもつかの間。次は投資先となるベンチャー企業との具体的な条件確定に入ります。投資金額やその際の企業価値評価額、投資契約の条文など、事前にある程度の共通認識は持っているのですが、ここで破談になってしまうこともゼロではないため、最後の契約締結までは気が抜けません。

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