お金を出して終わりじゃない―ハンズオン支援

投資事業である以上「どこに投資するか」が重要なのは言わずもがなですが、VCの場合はそれと同じくらい、もしくはそれ以上に「どう支援するか」が重要だったりします。この資金以外の事業成長のための支援を「ハンズオン」と言います。
ハンズオン支援の仕方はVC各社によって違い、さらにはキャピタリストによってもまちまちだったりするので一概にコレと言うことはできません。事業戦略の立案やマーケティング、開発、ファイナンス、人事などなど、様々な面で、これまでVCやキャピタリスト個人が蓄積させてきた経験知や知見、ネットワークなどそれぞれが持っている強みをフル活用して投資先企業の支援にあたります。ベンチャーの側でも、単に資金だけではなくこういったハンズオン支援を目的にVCからの投資を求めるケースが多いのです。

5年でやっとひとサイクル―Exit

投資先のベンチャーが成長していくお手伝いをするのはとても刺激的で楽しい仕事ではある一方で、VCも自分たちの利益を得るためには、いつかは持っている株式を売却しなければなりません。いわゆるExitというやつです。
投資先が上場する場合には、東証などの証券取引所で株式を売却することができます。このため上場後のどのタイミングで売るかということを決めて市場で売却することになります。

一方で上場以外のExitは大企業によるM&Aが大半。その場合は買収元から声が掛かることもありますが、もちろんベンチャーの側から買収元を探しに行くこともあります。その際にもVCが自分たちのネットワークを駆使して買収元候補となりそうな企業へ提案をしに行ったり、具体的に案件が進めば条件交渉をしたりといったことをします。
ここまで終えてようやくキャピタリストとしての業務が1サイクル回ったことになります。

しかし、よいベンチャーへ投資してハンズオン支援を通して投資先が成長したとしても、このExitがうまくいかないと十分な利益を得ることができないので、VCとはなかなかに報われるまでが長い商売だなと思ったりもします。ちなみにですが、色々なキャピタリストの方からお話を伺うと、投資からExitまでの期間は、およそ5年くらいを想定していることが多いようです。

おわりに

いかがでしたでしょうか? ベンチャーキャピタルの仕事、大まかなイメージをつかんでいただけたでしょうか。次回は私自身の例をもとに具体的な日常の業務をお伝えしますのでお楽しみに。

(関連記事)未来をつくる仕事にキャリアを活かす-なぜ公認会計士がVC(ベンチャーキャピタル)に転職を?

■聞き手
株式会社レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士の転職エージェント
https://www.career-adv.jp/

【関連記事】未来をつくる仕事にキャリアを活かす-なぜ公認会計士がVC(ベンチャーキャピタル)に転職を?
【関連記事】ベンチャーキャピタルで働く公認会計士のとある1日