配当源泉税に注意!
「外国子会社配当益金不算入制度」の効果を見る上で重要となるのは、配当に係る源泉税(配当源泉税)の存在です。配当源泉税に対しては外国税額控除が適用できず、また損金に算入することもできません。すなわち、配当源泉税は日本の親会社にとっては純粋な税務コストとなってしまいます。
以下の2つのケースを用いて配当源泉税のもたらす効果について検討したいと思います。
<前提条件>
外国子会社からの配当額:100
日本での実効税率:30%
<ケース1:配当源泉税がない場合>

このケースでは、日本での課税額は100×5%×30%=1.5となります。
よって、税負担の割合は1.5%です。
<ケース2:10%の配当源泉税が課される場合>

このケースでは、日本での課税額はケース1と同様、100×5%×30%=1.5ですが、外国子会社の所在地国で課された源泉税10も日本親会社にとっては税務コストとなりますので、税務コストはトータルで11.5(=1.5+10)となります。よって、税負担の割合は11.5%と高くなります。
このように、配当源泉税も日本親会社にとっては税務コストとなることから、配当源泉税の低い国に海外子会社が所在することが、より低い税務コストで海外子会社から資金還流するという観点からは望ましいことになります。
外国において損金算入される配当の取扱い
内国法人が外国子会社から受ける配当等が、当該外国子会社の損金の額に算入される場合があります。例えば、オーストラリア子会社からの優先株式配当やブラジル子会社からの配当などが該当します。
このような場合、わが国で益金不算入とされると、いずれの国でも課税されない、いわゆる「国際的二重非課税」が生ずるという問題が生じます。
そこで、平成27年度税制改正において、内国法人が外国子会社から受ける配当の額の全部又は一部が外国子会社の本店所在地国の法令において損金算入することとされている場合には、その配当の額は外国子会社配当益金不算入制度の対象外とされ、益金に算入されることとなりました。
これにより、外国子会社配当益金不算入制度の適用対象外とされた配当に対して課される外国源泉税は、損金に算入するか、外国税額控除の対象とすることができます。
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