2021年4月1日より、「伴走支援型特別保証制度」の取り扱いが始まりました。これは、金融機関を「伴走者」とし、経営行動計画書の策定を元に継続的な支援を受けることで信用保証料の負担を大幅に引き下げるものです。申込みには専門的な経営状況の分析が必須であり、会計事務所の出番が増えていくことが予想されます。ここでは、同保証制度の内容と、保証を受けるための条件を解説します。

最近金融機関に融資を依頼すると、この制度の話をされることが多くなっているという「伴走支援型特別保証制度」。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた売り上げ減については、2021年3月31日までは「民間金融機関における実質無利子・無担保融資制度」が利用できましたが、取り扱いが終わったことにより代わって登場しました。
本制度の基本的な内容は以下の通りです。
■伴走支援型特別保証制度の概要
保証限度額:4千万円
保証期間:10年以内(一括返済の場合は1年以内)
据置期間:5年以内
金利:金融機関所定
保証料率:0.2%(国による補助前は原則0.85%)
保証割合:
セーフティネット保証4号・危機関連保証…全部保証(100%保証)
セーフティネット保証5号…責任共有対象(80%保証)
返済方法:一括または分割返済
担保:必要に応じて
保証人:原則、法人代表者のみ
経営者保証免除対応を適用する場合、法人代表者についても不要
売上減少要件:▲15%以上
取扱期間:2021年4月1日から2022年3月31日までに保証申込を受け付けたもの(危機関連保証を受けたものについては、2021年12月31日までに融資実行されたもの)
条件:
・セーフティネット保証4号(新型コロナウイルス感染症に係るもの)、5号(売上減少▲15%以上)、危機関連保証(新型コロナウイルス感染症に係るもの)のいずれかの認定を受けていること
それぞれの要件については後述します。
・金融機関との対話を通じて経営行動計画書を作成すること
・金融機関が継続的な伴走支援をすること
金融機関は原則として、5事業年度にわたり四半期毎にフォローアップを実施します。中小企業者の経営状況を確認するとともに、経営行動計画書の実行状況を受け、必要に応じて指導・助言等の追加的な支援が行われます。 なお、一定の改善があった中小企業者は、フォローアップの回数が減ります。
本制度を利用して4千万円を10年間(据置期間2年間)借り、分割返済する場合を簡易シミュレーションすると、信用保証料は
保証料率0.85%の場合…217万6千円
保証料率0.2%の場合…51万2千円
となり、166万4千円の保証料削減に繋ります。
また地方自治体によっては、さらに地方自治体が0.2%の保証料を負担することで利用者の保証料負担ゼロとするところもあります。
例)東京都