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新型コロナを乗り切るための個人事業主が使える助成金・融資

この降って湧いた新型コロナ禍は、国民、特に個人事業主を直撃しています。さまざまなイベントは中止となり、繁華街から人気が絶え、さらには小さな子どもがいる場合は突然学校が休みとなり、子どもの預け先に右往左往することに――と、その影響はとどまるところがありません。そんな個人事業主がこの厳しい時勢を乗り切るための施策が次々と打ち出されています。そのうち一つが、厳しい資金繰りを援助する助成金や融資制度。
どのようなメニューがあるのかと共に、制度を利用するための要件をまとめました。

段々と出そろってきた個人事業主向け支援策

3月10日に政府から発表された「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 ―第2弾-」では、フリーランスや個人事業主向けの施策も講じられ、以下の内容が打ち出されました。

〇個人事業主・フリーランス向け休業対応助成金
誰かから雇われている人には保障がある一方、休業が収入に直結する個人事業主やフリーランスについては何もないといわれる中、国から援助策が打ち出されました。

その内容は以下の通りです。

助成対象者:
①又は②の子どもの世話を行うことが必要となった保護者であって、一定の要件を満たす人
①新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子ども
②新型コロナウイルスに感染したまたは風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある小学校等に通う子ども

実施主体:国

助成日額:4,100円

助成要件:
・個人で就業する予定であった場合
・業務委託契約等に基づく業務遂行等に対して報酬が支払われており、発注者から一定の指定を受けているなどの場合

適用日:2020年2月27日~3月31日(春休みなどは除く)

申請手続:未定(決まり次第厚生労働省HPや都道府県労働局などを通じて告知)

詳細:厚生労働省HP「小学校等の臨時休業に対応する保護者支援の創設(委託を受けて個人で仕事をする方向け)について

コロナによる全国一斉休校などで仕事を休まざるを得なくなった保護者については、一日あたり8,330円の助成金が出ますが、個人事業主は対象となりません。これに対しての不満の声を受け、フリーランスも助成されることになりました。ただしその額は4,100円と、従業員の半額以下です。この金額の算定は、報道によれば「東京都の最低賃金が1時間あたり1,013円で、その4時間分働いていると仮定した」(東京新聞、3月11日)とのことです。

 

〇ファミリー・サポート・センター事業を利用した際の利用料の減免
ファミリー・サポート・センターは、子どもの送り迎えや預かりなどを、事前登録した「依頼会員(援助を受けたい会員)」と「提供会員(援助を行いたい会員)」をマッチングして行う、市区町村が実施主体となる制度です。

新型コロナウイルス感染症防止のための学校の臨時休業等により、ファミリー・サポート・センターを利用する場合、利用会員に利用料相当額が助成されます。

助成対象者:ファミリー・サポート・センター会員

実施主体:市区町村

助成額:利用会員が協力会員に支払う報酬額

助成要件:学校の臨時休業等によりファミリー・サポート・センターを利用した会員

申請手続:未定

 

〇個人事業主・フリーランスへの事業資金の融資制度:無利子・無担保融資
フリーランスを含む個人事業主は、資金繰り対策の融資について、信用力や担保にかかわらず、実質的に無利子化されます。これらは緊急対応策第1弾で講じられた資金繰り対策に遡って適用されるので、条件に該当すればもしすでに融資を受けた場合でも無利子となります。

要件は以下の通りです。

融資対象者:フリーランス含む個人事業主

実施主体:日本政策金融公庫など政府系金融機関

融資の上限額:6,000万円(一部対象者は3,000万円以内実質無利子)など各種メニューあり

使い道:設備資金および運転資金

申請手続:日本政策金融公庫などへの相談(事業資金相談ダイヤル 平日9時~19時:0120-154-505)

申請開始日:3月17日

詳細:日本政策金融公庫HP「新型コロナウイルス感染症に関する融資制度の拡充について

 

〇生活資金の融資制度:無利子・無担保融資
休職した場合の助成金の対象にならない人や、失業した人がいる世帯などを対象に、最大で月20万円を無利子で貸し付ける制度です。事業に対しての融資ではなく、生活へ対しての融資になります。具体的な手続きなどはまだ告知されていません。

なお、同様の制度は各自治体でも準備が始まっています(例:千葉市の制度https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/chiikifukushi/covidkasituke.html)。

融資対象者:新型コロナウイルス感染症の影響により収入減少があった世帯や失業した世帯

元となる生活福祉資金貸付制度の実施主体:市区町村社会福祉協議会

融資の上限額:
・一時的な資金が必要な人(主に休業した人)は、緊急小口資金により10万円以内、小学校等の休業等の特例は20万円以内(据置期間1年以内、償還期限2年以内、無利子)

・失業した人などは、総合支援資金により単身月15万円以内、2人以上月20万円以内(据置期間1年以内、償還期限10年以内、無利子)

その他:償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯は償還を免除

申請手続:未定(決まり次第厚生労働省HPや社会福祉協議会HPなどを通じて告知)

詳細:厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度における 緊急小口資金等の特例貸付の実施について

 

〇所得税などの申告期限・振替日の延長、納税の猶予制度
申告所得税、個人事業者の消費税などの確定申告期間が4月16日まで伸び(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/kigenencho.htm)、合わせて振替日も所得税が5月15日、消費税が5月19日となりました(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_01.pdf)。

さらに、新型コロナの影響で納税が厳しい人は、税務署に申請し、特定の要件すべてに該当するときは、換価の猶予が認められます。

猶予の要件:
①国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
②納税について誠実な意思を有すると認められること
③換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
④納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
⑤原則として、担保の提供があること(担保が不要な場合あり)

猶予の内容:
・原則、1年間猶予(状況に応じてさらに1年間猶予される場合があります)
・猶予期間中の延滞税の一部が免除
・財産の差押えや換価(売却)が猶予

猶予手続:所轄の税務署(徴収担当)に相談

詳細:国税庁HP「納税についての猶予制度

 

〇フリーランス・個人事業主への配慮を国が要請
経済産業省は、3月10日付で新型コロナウイルス感染症により影響を受ける個人事業主・フリーランスと取り引きを行う発注事業者に対して、適切な配慮をするよう要請しました(https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200310007/20200310007.html)。

「元来事業基盤が弱く、収入の減少が生活基盤の悪化に直結しやすい個人事業主・フリーランスに対する影響を最小限とするため、発注事業者に対して、取引上の適切な配慮を行うよう、厚生労働大臣、公正取引委員会委員長と連名で関係団体を通じ、要請」したもので、その内容は、

・新型コロナウイルスの影響で個人事業主・フリーランスとの契約を変更する場合には、個人事業主・フリーランスと十分に協議した上で、報酬額や支払期日等の新たな取引条件を書面等により明確化すること

・新型コロナウイルス感染症により影響を受けた個人事業主・フリーランスが、事業活動を維持し、又は今後再開させる場合に、できる限り従来の取引関係を継続し、あるいは優先的に発注を行うこと

・個人事業主・フリーランスから、発熱等の風邪の症状や、休校に伴う業務環境の変化を理由とした納期延長等の求めがあった場合には、取引の相手方である個人事業主・フリーランスと十分に協議した上で、できる限り柔軟な対応を行うこと

などとされています。

この「要請」がどの程度の効力を持っているかは不明ですが、フリーランスや個人事業主から多く相談が寄せられていることを伺わせる要請内容です。

 

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著者: ハイタアジサイ

ドイツ駐在妻

ドイツで駐在妻生活堪能中のフリーライター、会計人の卵。早稲田大学第一文学部卒。税務専門紙記者や会計事務所での広報などを経験し、専門知識を極めんと仕事の傍ら千葉商科大学会計大学院進学。その後、公認会計士短答式試験に合格するも、妊娠&夫の海外赴任により論文試験は一年で放棄、ドイツへ。「一応MBA持ち」「一応修士号持ち」「公認会計士短答式だけ合格」など微妙な肩書コレクター。2児の母。

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