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元・税理士が伝える、資格に囚われない生き方とこれからの会計業界に求められること【一般社団法人中小企業税務経営研究協会 理事 大野晃氏】

今回の実力派会計人は、元・税理士の大野晃氏。税理士を19歳で目指し始めて26歳のときに合格。試験勉強に7年を費やし一生モノの資格を取得したが、10年目の2021年、税理士資格を返還する。なぜ、苦労をして獲得をした資格を36歳という若さで自ら辞めてしまったのか…。その理由と大野氏のこれまでのキャリア、そして元・税理士としてのこれからの生き方について話を伺った。(取材・撮影:レックスアドバイザーズ 市川)

偏差値30台→税理士有資格者になるまで

税理士を目指したきっかけを教えてください。

大野:実は、私の祖父と父が税理士をやっていたのですが、特に継いでほしいと言われていたわけでもなく、私自身中学も高校もほぼ勉強しませんでした。あるとき、通っていた中学の塾の模試で自分の偏差値が出たのですが30台ぐらいでしたね。(笑)

特にやりたいことも見つからず、当時、放映されていたドラマの影響という単純な理由で旅行関係の専門学校に行きました。就職活動をする時期になり、旅行会社の給料を調べたら、手取り14万。その後の昇給もほぼ見込めないと知り、もっと稼げる仕事に就きたいと思うようになりました。

ではどんな仕事をすればいいかと考えた時に、ふと、この先子どもができたとして自分は父親として何にチャレンジしたと言えるのだろうと思いました。まだ何にもチャレンジできていない、それなのに子どもへ目標を持てとは言えないと焦ったわけです。その頃の私にとって、税理士という資格はもっと学歴がある人が取得する、とても敷居の高い資格。だからその資格を取ろうと思うのは、立派なチャレンジなのではないか。それが税理士を目指し始めたきっかけです。たまたま身近に税理士がいたことと、父を見返したいという気持ちもあったかもしれません。大学に行っておらず受験資格もないので日商簿記から受けました。

日商簿記3級に不合格が続くも1級に合格!

大野:19歳のときに簿記3級から始めたのですが、3級も2級も勉強の仕方が分からないので受験をしても3級は30点、2級は20点ぐらいでした。しかし私は、税理士の受験資格が欲しいから受けているのです。予備校の先生には止められましたが3級にも合格していないのに1級を受けて、それでも3回目で合格しました。70点のギリギリ合格です(笑)。

24歳までは大学院に通って学生の人もいるわけですから、その歳までは専門学校で資格にチャレンジしようと決めました。ただ、24歳の時点で相続税以外は合格していたので、あと一科目なら働きながら勉強できるかと思って池袋の会計事務所に就職しました。資格はその後、26歳のときに取得しました。

縁故のようなものです。父親が飲み会の席で「うちの息子を預かってくれ」と話して入社させてもらいました。給料も16万円で社会保険なしというところで、業務はひたすら記帳代行。昔ながらのやり方です。しかし半年しかいませんでした。秋から入って、年末調整、確定申告、法人、決算を体験して、自分はこの繰り返しを一生の仕事にしたいわけではないと思って辞めました。退職後は父のところで社内ベンチャーのような形で顧問先0から独立採算制で仕事をしていました。

ケジメとして税理士資格の返還を決意

その後、何かターニングポイントになったことはありますか。

大野:経営を軌道にのせるために同業者に対してマーケティングをしたことです。普通にマーケティングをしていたら顧問先を拡大できないと思い当時は珍しかった業種特化戦略であるブルー・オーシャン戦略をとり飲食、美容、介護をテストマーケティングしました。それが私の中でしっくりきて、マーケットインしていたのが業界初となる飲食業×創業支援でした。

一つの成功事例としては、自分が開催した飲食店向けのセミナーに、飲食店専門の社労士さんが来てくださって、その方のご紹介であるフレンチ店の創業支援をしたことでした。ガストロノミーというフレンチの高単価帯ジャンルの中でカリスマ的なシェフのお店だったのです。ご支援をしたあとWebにこのシェフの声を掲載したところ「あの有名なシェフを支援している税理士さんなら」ということでたくさんお話をいただきました。そしてご紹介してくださった社労士さんと一緒に本を出すことになり、本を見て事務所へ来てくださるお客様も増えました。その頃には年間45件ほど飲食の創業支援の仕事をいただけるようになっていました。

創業融資支援では、飲食店の方は1千500万円~2千万円ほどの融資が受けられます。その数パーセントをいただいても十分な金額になります。当時はこの融資支援を行っている会計事務所があまりなかったので、良いビジネスモデルだと思いました。さらに創業融資支援をした殆どのお客様は年間50万円~70万円程で財務&税務顧問契約をいただけました。

そうして税理士としての業務は上手くいっていたのですが、税理士を辞めようと思うターニングポイントは税理士の方たち向けの仕事が面白かったからです。当時私がやっていた飲食の創業支援という取り組みが珍しかったのか、会計事務所向けのサービスをしている会社から事務所経営やマーケティングに関するセミナーをやってもらえないかと言われることが増えました。そして税理士さんをお客様にしてみると、これがとても面白く、飲食店の支援以上に大きなやりがいを感じられたのです。

もう一つのターニングポイントは、2018年の秋に、自分の会計事務所をM&Aで経営統合したことです。飲食専門の開業支援で業績は伸ばせていましたが、結局業務は同じことの繰り返しになってしまいます。それでは事務所にいるスタッフの成長に繋がりません。大きい会計事務所と統合すれば、スタッフが「飲食部門以外のキャリアを積みたい」「高度な税務をやってみたい」と思ったときに部門を変わるだけで挑戦できます。その会計事務所の代表の方とたまたま個別にお話ししたときに私のこういった考えを伝えると「それなら経営統合して一緒にやりましょう」とデューデリもしていないのに言い切っていただきました。こういう方の事務所なら今後も伸びていくと確信が持てました。

そして会計事務所が統合すると同時に、私自身も税理士としての税金計算や税務相談といったことをしていないのに、税理士という資格を持っているのはいかがなものかなと思い始めました。それよりも背水の陣で、戻る場所を無くして起業家としてチャレンジしたい。この経営統合が、税理士登録の抹消の後押しになりました。

AIに負けない税理士になるためには

今後の税理士業界はどのように変化していくと思われますか。

大野:テクノロジーの変化はとても早く、税務・会計業務だけだと低価格になっていくのは間違いありません。手書きで月額5万円もらっていたものが、会計ソフトができて3万円、クラウド会計が主体になったら人の作業賃がなくなるので低くなりますよね。そしてAI・RPAとなったらさらに下がります。私はAI系の戦略アドバイザーをしていましたし、RPAの会社の取締役もやっています。これも、自分の肌でAI・RPAがどの程度進化しているのか、実際に現場でどの程度使えるものなのかを知ることができるからです。

ある程度の知識があれば、逆にAI・RPAができないところの付加価値となるサービスを考えることができます。年を取るほど学んでいれば知識も人脈も増えてくるはずですが、変わらないままでは年とともに退化します。良い時や余裕がある時に、悪い時に備えてどんどん新しい情報を吸い取って自己研鑽することが必要だと思っています。

私自身、まだまだチャレンジしたいことがたくさんあります。税理士の資格は返還しましたが、この業界がとても好きです。業界を盛り上げるために、会計事務所経営に役立つツールやコンテンツをプロデュースしひいてはその先にいる様々な業界のクライアントがより豊かな経営ができるよう支援させていただきたいと思っております。

【編集後記】
取材中は、誰もやらないようなことや、嫌だなと思うことを積極的にやるようにしているんですよと語る大野さん。これからも新しいことに挑戦をしていかれるのですね!大野さん、ありがとうございました!

一般社団法人中小企業税務経営研究協会(税経会)

●創業

2015年8月

●所在地

東京都渋谷区渋谷1-12-2 クロスオフィス渋谷5F

●理念

本当の意味で経営者に役立つ税理士を増やしたい

税理士になりたい若者を増やしたい

企業URL

https://zeimukeiei.jp/

 


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著者: KaikeiZine編集部

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