「ファクタリング」という言葉を聞かれたことはありますでしょうか。ファクタリングについて「資金調達に活用できると聞いたことはあるがよく分からない」、「利用できる場面のイメージが湧かない」という声も聞きます。
資金繰りに困っている顧問先に対して有効な手段の一つとして提案することや、顧問先企業からのお問い合わせも少しずつ増えてきました。
今回はファクタリングの仕組みや融資との違い、活用方法についてご紹介します。

■ファクタリングとは

  • ●早期の資金調達手段

ファクタリングとは、自社が保有する売掛債権をファクタリング会社へ売却することで、売掛債権の回収期限よりも前に現金化することです。資金調達手段の一つであり、資金が必要なときに速やかに調達できます。たとえば、10月末にまとまった額が入金される売掛債権があるが、9月末に予定されている支払いがあって、資金が必要な場合などに活用できます。

  • ●ファクタリングの種類

ファクタリングには大きく分けて、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングがあります。それぞれの仕組みを見てみましょう。

〈2者間ファクタリング〉

2者間ファクタリングは、ファクタリングを利用する会社(売掛債権を持っている会社)とファクタリング会社(売掛債権を買い取る会社)の2者間での取引となります。

ここで、ファクタリングを利用する会社をA社、ファクタリング会社をB社、A社が売掛債権を持っている取引先をX社とします。2者間ファクタリングは次のような流れで行われます。

2者間ファクタリングは、取引先への通知は無く承諾の手間が少ないため、3者間ファクタリングと比べると早期に現金化することが可能です。

<3者間ファクタリング>

3者間ファクタリングは、ファクタリングを利用する会社(売掛債権を持っている会社)とファクタリング会社(売掛債権を買い取る会社)に加えて、売掛債権を支払う会社も含めた3者間での取引となります。

同じように、ファクタリングを利用する会社をA社、ファクタリング会社をB社、A社が売掛債権を持っている取引先をX社とします。3者間ファクタリングは次のような流れで行われます。

3者間ファクタリングは、取引先の承諾が必要になるため、2者間ファクタリングに比べると手間や時間がかかります。

  • ●手数料の相場

ファクタリングを利用する場合、ファクタリング会社に支払う手数料がかかります。基本的には対象となる売掛債権の金額によって変わってきます。2者間ファクタリングでは、売掛債権の10~20%程度としている会社が多いようです。3者間ファクタリングでは、売掛債権の5%前後となるようです。ただし、手数料率は会社によって異なり、相場より低い会社もあれば高いところもありますので、しっかり比較・検討されることをお勧めします。

  • ●融資との違い

代表的な資金調達方法である金融機関からの融資と比べて、ファクタリングはどのような点が異なるのでしょうか。

1.審査の違い

融資は、金融機関からお金を借り入れて、借入金を比較的長期に渡って返済していきます。そこで、金融機関はその会社に十分な返済能力があるかどうかを審査します。それに対して、ファクタリングは売掛債権の売却となりますので、ファクタリング会社は売掛先から問題なく入金されるかどうかを重視します。そのため、融資では、自社の業績が悪いときや既に借入金が大きいときには調達しづらくなりますが、ファクタリングであればそのようなときでも資金を調達できる可能性があります。

2.入金までの時間

また、ファクタリングでは、申込を行ってから数日で入金されることが多く、そのスピードが特徴です。一方で、金融機関からの融資では、ビジネスローンは比較的早いですが、通常は借入の申込から実行までに、数週間から長い場合は数カ月かかることもあります。

3.調達できる金額

金融機関からの融資では、企業の業績や保有資産、資金の使途などをもとに貸付可能な金額が審査されますが、ファクタリングでは、売掛債権の売却となりますので、調達できる額はその売掛金額が上限となります。

まとめると、基本的には、融資はまとまった金額を借りて長期に渡って返済していくのが向いており、ファクタリングは短期間で比較的少額を調達するのに向いているといえるでしょう。

ちなみに、手形割引も売掛債権を現金化するという点では、ファクタリングと共通しています。手形割引は受取手形を現金化するのに対して、ファクタリングは売掛金を現金化します。ただし、手形取引は年々減少しており経済産業省は2026年をめどに約束手形を廃止する方針を掲げてます。手形割引に変わる資金調達手段としてもファクタリングの活用が期待されます。

■どんなときにファクタリングを活用できるか

  • ●資金調達の選択肢の一つ

ファクタリングは、短期間での資金調達が可能ですが、困ってから考えるのでなく、選択肢の一つとして事前に準備しておくとよいでしょう。

資金繰りに困ってから調達先を探し始めると、いざというときに間に合わない恐れもあります。資金調達の手段は多様化しており、以前よりも選択肢が増えてきています。選択肢を複数持っておき、備えておくことが大切です。オンライン上で、申し込みから実行までが完結するファクタリングのサービスも出てきており、利便性や迅速性が向上しています。自社やクライアントのために、必要なときに利用できるように情報を集めておくことが大切でしょう。

<ファクタリングが効果的なケース>

  • ●成長に対して手元資金が追い付かないとき

スタートアップ企業やベンチャー企業では、実績を重視する金融機関から融資を受けるのが難しい場合があります。また、前期の決算書をもとに判断されると、調達できる金額が限られることも珍しくありません。そのため、企業が急成長している段階では、必要となる資金が増加するスピードに対して、融資で調達できる金額が追い付かないケースがあります。そのようなときにファクタリンクを活用することができるでしょう。企業の成長段階では、売掛債権も増加していきますので、ファクタリングを用いて増加する資金ニーズに対応できます。

  • ●一時的な資金ショートへの対応

事業を運営していると思わぬ支出があるものです。月末や期末で支払いが重なってしまうとき、何かトラブルが発生して思わぬ費用が発生するとき、見込んでいた契約が受注できずに入金が想定より少なくなるときなど。コロナ禍の影響で、従来からの契約が途絶えてしまう状況もあるでしょう。急に資金繰りが厳しくなったときに、短期間で資金化できるファクタリングを活用できます。

■ファクタリング事業者の選び方と注意点

「ファクタリング」で検索すると多くのサービスが表示されます。多くの会社でファクタリングのサービスを提供していますので、どの事業者を選んだらよいか悩むかもしれません。そこで、ファクタリング事業者を選ぶときのポイントをお伝えします。

  • ●実際の手数料

ファクタリング事業者のサイトでは、ほとんどのところで手数料の低さを謳っています。しかし、最低手数料(「●%~」など)だけを表示しており、上限が示されてないサイトもあります。ファクタリングでは審査がありますので、審査の結果、最低手数料に比べてかなり高い手数料を求められるケースもあります。そのため、最低手数料だけでなく手数料の上限を示しているかにも注目してください。

  • ●運営主体がどこか

さまざまな事業者が参入しており、中にはヤミ金融業者が高額な手数料を要求するといった事例が発生しています。そこで、どういう会社が運営しているか確認することが重要です。信用できる会社が運営しているか、相応の規模の会社が運営しているかを確認されることをお勧めします。

  • ●東証一部上場企業によるサービス「電子請求書早払い」

「電子請求書早払い」とは、株式会社インフォマートとGMOペイメントゲートウェイ株式会社が共同で提供している法人向けファクタリングサービスです。発行した請求書(売掛債権)を売却することで、最短2営業日で現金が入金されます。

インフォマートは企業間商取引を円滑に進めるためのプラットフォームサービスを展開しています。「電子請求書早払い」を始めとしたプラットフォームサービスを60万社以上が導入しており、国内法人数の約267万社のうち約23%、おおよそ1/4の法人が活用しています。

「電子請求書早払い」は取引先に通知不要の2者間ファクタリングですが、手数料は業界最安水準の1.0%~6.0%となっています。無料で利用可能額を査定することが可能で、売掛債権の金額や入金サイトなどから調達できる見込金額を知ることができます。

資金繰りに困っている顧問先に対して、資金調達の有効な手段の一つとして「ファクタリング」のサービス内容を事前に情報収集しておくと安心です。

無料 資料ダウンロード ▶▶こちら

電子請求書早払い

 

 


 

(関連記事)
売掛債権を活用した資金調達(ファクタリング、ABL融資)の仕組み