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判決・裁決紹介 国外関連者への資金提供・債権放棄が寄附金認定された事例

裁判所の判断

  1. 本件資金提供に当たり、X社としては、近い将来にA社が清算に入る可能性があることを予測しており、A社から資金提供に係る利息の支払及び金銭の返還を受けることを想定していなかったことが推認される。こうした経緯を考慮すれば、本件資金提供は、形式的には消費貸借契約に基づく金銭の交付であったとしても、その実質は、A社に対して金銭を対価なく移転するものであり、かつ、その行為について通常の経済取引として是認できる合理的理由は存在しないというべきである。
  2. X社は、保有する株式の譲渡により、約210億円という多額の譲渡益が発生しており、資金提供や債権放棄の経緯からすれば、X社がこのような形式的な貸付債権を放棄することは、この債権放棄による損失を計上することにより上記譲渡益に対する税負担を軽減するための便法に過ぎないとみるほかはなく、本件債権放棄について、通常の経済取引として是認することができる合理的理由を見いだすことはできない
  3. 以上より、寄附金課税は相当である。

コメント

海外子会社等の関連者に対する債権放棄は税務調査でよく問題となります。第三者間であれば、経済的合理性がなければ債権放棄は行われませんが、相手が関連会社であれば、必ずしも経済的合理性がなくても債権放棄が行われることがあり、その場合には、寄附金課税の問題が生じます。

この「寄附金」については、民法上の贈与に限らず、経済的にみて贈与と同視し得る金銭その他の資産の譲渡又は経済的利益の供与をいうものとされており、ここにいう「経済的にみて贈与と同視し得る金銭その他の資産の譲渡又は経済的利益の供与」とは、金銭その他の資産又は経済的利益を対価なく他に移転する場合であって、その行為について通常の経済取引として是認することができる合理的理由が存在しないものを指すものとされています。

今回の事案は、関連者に対する担保提供、資金提供、債権放棄といった「一連の行為」を一体として見たときに、「通常の経済取引として是認できる合理的理由」があるかどうかが判断のポイントとなりました。本件は、上記一連の行為がX社の事業展開の一環として行われたものではなく、各取引が行われた背景等を検討し、実質的にみて経済的合理性がないと判断されたものです。


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著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課、国税局国際専門官
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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