4.東京プロマーケットへ上場した会社の成長戦略

東京プロマーケットへ上場する会社には、M&A戦略で成長していく会社以外では、上場のプランドの獲得により、それだけで急速に売上や利益を伸ばす企業があるという特徴があります。急成長する主な要因としては、経営者の事業に対する高い戦略性、思考(考え方)、社会貢献、誠実性がベースにあるようです。

また、経営者保証が外れますので、借入に対する経営者の事業拡大に対する恐れが少なくなるように感じます。東京プロマーケット上場により信用力(与信)が増し、経営者が思い切って借入資金を確保できるといった良い点もあります。

一定の収益性が見込める良い事業に対して、金融機関としては事業性評価によって多くの資金を貸し付け、中小企業としては借入資金をもとに、さらに事業が伸ばしていくことができるという循環が生まれることでしょう。

東京プロマーケットへ上場することのメリット

東京プロマーケットへ上場することで事業計画の策定能力が上がるというメリットがあります。

上場申請期には予算と実績を月次で評価する予算統制の仕組みが運用されていることが必要になるばかりでなく、精度の高い将来3期間の事業計画が求められるため、中小企業の経営管理能力が必然的にスキルアップするという効果が見込めます。前年比◯%増という粗い計画ではなく、企業が身を置くマーケット分析のもとで「市場のどこを取りに行くのか」「市場にはどのような需要があるのか」などを加味して需要予測に基づいた積上予算、事業計画を策定する必要があります。

また、日本の中小企業は欧米に比べて、経営手腕が未熟な会社が多いように感じています。低い戦略性やマネジメント能力についても、東京プロマーケットへの上場準備の過程で変化していきます。毎月10日程度で組みあげなければならない月次決算の予算実績分析など、過去の数字と向き合うことで、将来の戦略性の高い、まさに未来会計を行う必要があるといった点は、中小企業の経営能力を確実に高めて行くと言えるでしょう。

このように、「経営の磨き上げ」「経営の高度化」が実現するのが東京プロマーケットの特徴です。経営数値を開示することへの恐れを突破できれば、オーナーシップに変化がないこともあり(同族経営を維持できる)、中小企業にとって非常に良いマーケットと言えるでしょう。東京プロマーケットへの上場は、まさに「IPOへの義務教育(練習市場)」とも言えます。

5.東京プロマーケットを入り口としたステップアップ上場について

中小・中堅企業が東京プロマーケットを登竜門として、IPO市場へのステップアップ上場を目指している会社は増加傾向にあります。東京プロマーケットに上場し、開示、予算統制、ガバナンスを磨いたうえで次の市場へ行くことを狙っているのです。

最近の流れでは、一度東京プロマーケットに上場し、自らの会社を磨き上げて地方である地元に戻るといった「Uターン上場」や、他にも地方市場を目指す「Iターン上場」などが見られます。このように、地方市場を活用する面的な広がりは更に増えるでしょう。東京証券取引所さんが世界レベルを競い、レベルの高い市場を目指していくのに対して、地域創生や事業承継などのために地方市場が活用されていくという棲み分けが自然と生まれてくるでしょう。

6.他の市場へ移行せず東京プロマーケットだけでの活動はどうなのか

ずっと東京プロマーケットで活動していくというパターンの会社もあります。今の状況が良いと割り切っているということです。なぜなら、東京証券取引所さんに上場したという事実だけで、取引先に対する信用力が上がり、売り上げを増やし、成長するのに十分だからです。さらに、新卒採用にも繋がるような信用も得られます。

そのため、あえて大きな資金調達のために、次の市場へステップアップする必要がないと考えている企業も存在します。

今後も、多様な目的で上場を目指す中小企業が多くなっていくと感じています。そのため東京プロマーケットへの上場についても、目的ごとに、事業承継型市場、事業成長型市場のような市場の棲み分けがなされるかも知れません。