差押えを受けてもすぐに財産が処分されるわけではありません。課税処分に対する不服申立て同様に、滞納処分に対してできる不服申立てについて、元国税徴収官が分かり易く説明します。
◇不服申立てとは
国税に関する法律に基づき税務署長や国税局長(以下、「税務署長等」といいます。)が行った処分に不服がある場合に、その処分の取消しや変更を求めて不服を申し立てる制度です。
不服申立ての方法は、①その処分を行った税務署長等に対する再調査の請求と、②国税不服審判所長に対する審査請求のいずれかを選択して行うことができます(国税通則法第75条第1項)。
また、再調査の請求を選択した場合であっても、再調査の請求についての決定を経た後の処分になお不服があるときには、国税不服審判所長に審査請求をすることができます(国税通則法第75条第3項)。
審査請求の裁決になお不服がある場合には、裁判所に訴訟を提起することになります。
税務署長の処分に不服があるとき(国税庁HPから)
不服申立制度は、簡易迅速な手続による納税者の権利、利益の救済手段です。裁判所へ訴訟を提起する場合には訴訟費用が必要ですが、不服申立てには費用はかかりません。
ただし、不服申立てに際して、税務署や国税不服審判所に対して開示請求や証拠書類等の写しの交付を請求する場合には、手数料が発生します。