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滞納回避 税金の「猶予制度」を深掘り

前回は「納税猶予」や「換価の猶予」の申請ポイントついて説明しました。
今回は、どんなときに猶予を受けられるのか、また、猶予の許可を受ける際のポイントとなる納税者の個々の実情とは何かについて、元国税徴収官の経験から深掘りしていきます。

前回のおさらいになりますが、申請に基づく猶予には、①税金を納めると事業の継続や生活の維持が困難になるようなときに、差押財産の売却(換価)が猶予される「換価の猶予(国税徴収法第151条の2)」と、②災害、病気、事業の休廃業などさまざまな理由により納税が厳しい場合に、納税が猶予される「納税の猶予(国税通則法第46条)」があります。

今回は、猶予が受けられる要件と、猶予制度の基本的な考え方の中で、猶予を許可する際にポイントとなる納税者の個々の実情について説明します。

○ 猶予が受けられる要件

それぞれ記載の要件をいずれも満たす場合にその猶予制度を利用することができます。

1 換価の猶予(延滞税軽減※)

⑴ 納付すべき国税を一時に納付することにより、事業の継続・生活維持が困難となるおそれがあること。

⑵ 納税について誠実な意思があること。

⑶ 納期限から6か月以内に申請があること。

⑷ 納付すべき国税について納税の猶予の適用を受けている場合でないこと。

⑸ 原則として猶予を受けようとする国税以外に滞納がないこと。

⑹ 原則として、換価の猶予を受けようとする国税の額に相当する担保の提供があること。

(注)

  • 1 担保の提供が明らかに可能である場合を除いて担保は不要です。
  • 2 既に滞納がある場合や申請期限を過ぎた場合は、状況に応じて、税務署長の職権による猶予を検討します。

2 納税の猶予(延滞税免除又は軽減※)

⑴ 新型コロナウイルス感染症に関連するなどして、以下のようなケースに該当すること。

① 新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した。

② 納税者本人又は生計を同じにする家族が病気にかかった。

③ 納税者が営む事業について、やむを得ず休廃業をした。

④ 納税者が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた。

⑵ ①~④があることにより、一時の納税ができないこと。

⑶ 申請があること。

⑷ 原則として、納税の猶予を受けようとする国税の額に相当する担保の提供があること。

(注) 担保の提供が明らかに可能である場合を除いて担保は不要です。

※ 令和3年における延滞税の軽減については、年8.8%の割合が年1.0%の割合となります。

ここでもう少し深掘りして説明をします。「一時に納付が困難」とは、納付すべき国税の全額を一時に納付する資金がないこと、又は納付すべき国税の全額を一時に納付することにより納税者の事業の継続若しくは生活の維持を困難にすると認められることをいいます。具体的には、納付可能金額(手元資金-当面の資金繰りに必要な額)が納付すべき国税の額に満たないケースが該当します。

また、手元資金には、国等からの給付金や緊急融資の額を含めますが、その給付金等が、事業継続等のため支出先が決まっている場合には、納付可能額を算出する際に運転資金や臨時支出の額を同額分増加させますので、実質的には猶予を受けられる額には影響しません。給付金等を受けた方は、税務署担当者へ相談の際に申し出るといいでしょう。

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