税金を納めすぎた場合は、還付金として返してもらえますが、利息が付く場合があります。今回は「還付金及び還付加算金」について、元国税徴収官が分かり易く説明します。
国税局長、税務署長又は税関長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下「還付金等」という。)があるときは、遅滞なく、金銭で還付しなければならない。
2 国税局長は、必要があると認めるときは、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長からその還付すべき還付金等について還付の引継ぎを受けることができる。
◇還付金等の種類
国税の還付には、還付金と過誤納金の二つの種類があり、これらを併せて還付金等といいます(国税通則法第56条1項)。
◇還付金
還付金は、国税に関する法律において、予定(中間)的に納付することが義務付けられている税額が、後日確定額を超えることとなった場合などに還付されるものです。
◇過誤納金
還付金が各税法の定めに基づいて発生するのに対して、過誤納金は、法律上、国税として納付すべき原因がないのに納付された金額で、国の一種の不当利得に係る返還金で、過納金と誤納金の二つに分かれます。
○過納金
過納金は、納付した時点では納付すべきとして確定した国税でしたが、その後、減額更正や不服審査の裁決などの後発理由によってその納付すべき国税が減少し、その結果として納め過ぎになった場合に発生するものです。
○誤納金
誤納金は、国税として一旦は納付されたものの、それに対応する国税債務がない場合に発生するもので、例えば、確定した納付すべき税額より、誤って多く納め過ぎた場合に発生するものです。
【参考】還付金等の性格
◇金銭による還付
還付金等は、遅滞なく金銭で還付するのが原則となっています。この場合、収入印紙又は物納など当初の納付手段にかかわらず、金銭での還付が原則となっています。
○還付金を受ける者
還付を受ける者は、原則として還付金の原因となった国税及び過誤納の国税を納付した者です。
なお、源泉徴収等による国税の過誤納金は、法令に別段の定めがある場合を除いて、その国税を納付した源泉徴収義務者または特別徴収義務者に還付されます。
また、納税管理人(国税通則法第117条)が選任されている場合には、その納税管理人の口座へ還付されます。
○還付金等の債権譲渡(還付金等の譲受人への還付)
還付金等の請求権は譲渡が可能です。その場合、本来の還付を受ける者は、民法第467条第1項(債権の譲渡の対抗要件)の規定による通知を税務署へ行い、税務署は、その事実を確認した後、その譲渡に係る還付金等は、その譲渡通知にかかる譲受人に還付されます。
◇未納国税への充当
還付金等が発生した場合、遅滞なくこれを還付するのが原則ですが、その還付を受ける者に納付すべき確定した国税が別にあるときは、納税者の意思にかかわらず、その還付をしないで、その未納の国税に充てられます。これを充当といいます。
充当には国税債権を消滅させる一つの行為として、民法の相殺と同様の効力があります(国税通則法第57条1項、民法第505条)。
民法の相殺は、当事者の一方から他方に対する意思表示によって行われ、相殺を禁止する旨の特約があるときは相殺ができないのに対して、未納の国税への充当は、強行規定であるため、当事者の反対の意思表示は許されません。
○充当の効果及び充当適状
充当の効果は、納付すべき国税と還付金等が対当額で消滅することです。充当をするのに適することとなった日を充当適状日といい、その充当をした還付金等に相当する国税の納付があったものとみなされます(国税通則法第57条2項)。
充当適状日は、原則として、充当される国税の法定納期限と還付金等が発生した日とのいずれか遅い日です(国税通則法第57条2項、国税通則法施行令第23条1項)。
○充当通知
還付金等が未納の国税に充当された場合は、納税者に対して、充当通知書により通知がされます(国税通則法第57条3項)。
◇還付加算金
国税を滞納した場合に延滞税が課されることとのバランスを考慮して、還付金等には一種の利息に当たる金額が加算されます。この金額を還付加算金といいます(国税通則法第58条)。
◇還付加算金の計算
過誤納金に対する還付加算金の計算は、国税通則法第58条に定められた還付加算金の起算日から、還付の支払決定日又は充当適状日までの期間の日数に応じ、年7.3%と特例基準割合のいずれか低い割合を乗じて計算されます。
また、還付金に対する還付加算金の計算期間は、各個別税法に規定されています。
【参考】還付加算金の算式
【参考】還付加算金の起算日一覧
◇参考情報
以下は、還付加算金に関する参考情報リンクです。
≪参考≫還付加算金がある場合の課税売上割合の計算(国税庁HP)
≪参考≫還付加算金が雑所得として課税される場合の必要経費(国税庁HP)
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