経営に行き詰まり、会社や個人事業主が廃業に至る場合、滞納があれば納税者のみならず、一定の要件を満たす特定の第三者に対しても納税義務が負わせられる場合があります。今回は「第二次納税義務」について、元国税徴収官が分かり易く説明します。

目 次

●第二次納税義務とは
●第二次納税義務の成立
●第二次納税義務の種類
●主たる納税義務と第二次納税義務との関係
●第二次納税義務者に対する徴収の手続及び滞納処分
●無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務

◇第二次納税義務とは

納税者の財産について滞納処分を行っても、なお滞納額に不足すると認められる場合に限り、納税者と一定の要件を満たす特定の第三者に対して、補充的に納税義務を負わせることにより、国税の徴収確保及び徴収手続きの合理化を図るために認められている制度です(国税徴収法第33条から第39条及び第41条)。

これは、第二次納税義務者となるべき者からみれば、自分以外の者の滞納についての納税義務を負うこととなり、事実上及び法律上重大な関係が生じます。したがって、第二次納税義務を負わせるに当たっては、周密な調査を実施し、違法または不当にわたらないよう厳正を期さなければならないとして、国税庁では次の3点について「第二次納税義務関係事務提要」に制定しています。

  • ①第二次納税義務の成立要件についての事実関係及び徴収不足であるかどうかの判定
  • ②第二次納税義務を負うべき者であることの認定
  • ③第二次納税義務の限度の判定

◇第二次納税義務の成立

第二次納税義務は、国税徴収法第33条から第39条及び第41条の«第二次納税義務»に規定する特定の納税者が国税を滞納し、かつ、それらの条に規定する要件を満たすことによって成立します。なお、第二次納税義務が成立し、納付通知書による告知(国税徴収法第32条1項)を行うことにより確定した後にその成立要件となった事実に変更があっても、いったん確定した第二次納税義務には影響がありません(昭和47.5.25最高判参照)。