2022年1月1日から施行の改正電子帳簿保存法(電帳法)の「電子取引の保存義務」において、令和4年度税制改正大綱に2年間の宥恕(ゆうじょ)措置が盛り込まれた。これにより2年間は、これまでどおり電子取引データを紙に印刷して保存することが認められるが、宥恕措置について国税庁は12月28日、関連通達を改正、Q&Aの内容を更新した。

1月から施行された電帳法では、電子取引データの保存に関しては“電子保存”が義務化されている。しかし、電帳法の具体的な取り扱いが国税庁から公表されたのは2021年の7月。この時点で運用開始まで半年を切っており、対応に関して多くの企業が困惑していた。

そこで令和4年度の税制改正大綱では、改正電帳法に対応出来ない事業者対策として、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行った電子取引については、「宥恕措置」を設けることが盛り込まれた。以下その内容だ。

【電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置の整備】

 令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存することができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が、質問検査権に基づく電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする経過措置を講ずる。

 (注1)上記の改正は、令和4年1月1日以後に保存が行われる国税関係書類又は電子取引の取引情報に係る電磁的記録について適用する。

(注2)上記の電子取引の取引情報に係る電磁的記録の出力書面等を保存している場合における当該電磁的記録の保存に関する上記の措置の適用については、当該電磁的記録の保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、引き続き保存義務者から納税地等の所轄税務署長への手続きを要せずその出力書面等による保存を可能とするよう、運用上、適切に配慮することとする。

 この内容から、2年間の猶予が認められるのは、「やむを得ない事情」があると税務署長が認め、かつ、書面に出力して提示等の求めに応じることができるようにしているなら、紙でもOKとしている。

そこで、企業や税理士などの間からは、この「やむを得ない事情」とは具体的にどのようなケースなのかという疑問の声も上がっていた。