今回は、2019年に東京プロマーケットへと上場した経験のある清鋼材株式会社代表取締役社長の星野氏に、上場のきっかけや、実際に上場して感じたメリットについて伺いました。
新潟県糸魚川という場所からの上場。さらに、中小企業として東京プロマーケットへの上場にはどのような影響があったのか、同じような環境での上場を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 清鋼材株式会社創設の経緯
  2. 東京プロマーケットに上場したきっかけ
  3. 実際に上場して感じたメリット
  4. 上場において苦労したこと
  5. 今後のビジョン
  6. 星野氏から皆様へ伝えたいこと (企業向けと就活生向け)
  7. 清鋼材株式会社星野氏について
  8. まとめ

1.清鋼材株式会社創設の経緯

清鋼材株式会社は、分業されている鉄板の加工を一貫して行おうと創設しました。会社のお客様は、建設機械メーカーで、一枚の大きな鉄板を切って曲げて貼り付けて、機械加工して色を塗ってお客様のラインに横付けしていきます。1枚の鉄板から部品にするまでの工程を一貫しているところは少なく、分業体制をとることが多いです。例えば、切る専門、曲げる専門、溶接専門に別れております。その分業の体制を、なるべく一貫で行おうというのが清鋼材株式会社です。

現在の糸魚川に会社を構えたのは、当時の糸魚川市長からお声がかかったからです。会社の創業者で現会長である父は、八丁堀でブローカーとして会社を創業しました。そこから東京都江東区の東陽町に工場を出し、その後千葉県の浦安、八千代に移転していきました。そして、竹下内閣がふるさと創生を進めた頃、故郷でもある糸魚川市の市長から父の方に、様々な補助金が出るので故郷に戻らないかという声がかかり、糸魚川に工場を出すことになりました。これらが、清鋼材株式会社の創設と現在の場所に会社を構えた経緯です。

2.東京プロマーケットに上場したきっかけ

東京プロマーケットに上場しようと思ったきっかけは、市場の流動性が少ないため敵対的買収が起きにくいことと、採用面でのメリットを感じたからです。小さな会社が上手くいって上場してしまうと敵対的買収などのリスクがありますが、東京プロマーケットにはそのリスクが無いと感じました。そして、上場を決意した最後の後押しとなったのは、大学の就職課の先生の言葉でした。大学に足を運び、就職課の先生に求職者を紹介していただけるようにまわっている際に、先生から「今の就活というのは、上場しているかどうかで会社を選ぶ人がほとんどで、さらに、どんな市場であるかは問われない。」と伺い、上場していることで採用しやすくなるのであれば上場しようと考えました。買収などのリスクが少ない東京プロマーケットが特によいと思いました。

3.実際に上場して感じたメリット

実際に東京プロマーケットに上場して感じたメリットは2つあります。1つは、採用が取りやすくなるということ。もう1つは、事業承継が行いやすくなったということです。

1つ目のメリットである採用が取りやすくなることに関しては、上場というネームバリューのおかげで就活生に選択肢の一つとして検討してもらえるようになりました。実際に、大卒の人材を採用できるようになりましたし、大学側からインターンシップのご提案を頂き、今後の採用に繋がる動きが出てきました。また、糸魚川という地域に人材が集まること自体少なかったのですが、新潟県の新聞社に取り上げてもらえるなどの認知拡大のおかげで、少ないながらも検討の対象に入るようになってきました。

2つ目のメリットは、事業承継が行いやすくなったことです。東京プロマーケットは、通常借入時に求められるオーナー社長の個人保証が外せます。誰でも社内昇格で社長にしやすくなるのです。私自身が父から会社を継ぐ時に債務も引き継がないといけなかったため、とても荷が重かったのを覚えています。この個人保証が外せることによって、縁者以外の方にも気兼ねなく社長のポストを用意することができるようになりました。