上場株式や投資信託の税金は工夫一つで節税できます。しかし、確定申告が複雑なのが難点です。特に、配当金の節税は、市区町村で手続きするのが大変でした。しかし令和3年から、この手続きがラクになります。どう変わるのでしょうか。今回は、この変更点について解説します。
■株の確定申告をおさらいしよう
最初に、これまでの上場している株式や投資信託の税金をおさらいしましょう。
●特定口座でも確定申告はできる
現在、上場株式や投資信託の運用益にかかる所得税・住民税の扱いは、「特定口座を使うかどうか」「特定口座でも所得税・住民税の源泉徴収があるかどうか」で次のように分かれます。
【引用元】株式・配当・利子と税(国税庁)
「源泉徴収ありの特定口座」ならば、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が天引きされて完結します。確定申告はいりません。逆に、これ以外は確定申告が必要となります。
ただ、申告不要だからといって、確定申告をしてはいけないわけではありません。次のようなケースだと、申告したほうが節税になります。
- ・株式の売却損が多額なので他の運用口座の利益と相殺したい
- ・1回分の確定申告で引き切れないくらいの譲渡損が出た
- ・「所得税は総合課税で申告、住民税は申告不要」とした方が配当金課税を抑えられる(課税所得額900万円以下の人対象)
詳しくは、下記リンクを参照してください。
2021年版確定申告 株式の配当金って確定申告した方がいいの?
株の確定申告①配当金は「所得税は総合課税で申告、住民税は申告不要」が節税…ってナゼ?注意点も解説
株の確定申告②株の損失は「分離課税で申告」すれば翌年以降も繰越控除できる
上場株式や投資信託の税制は今、たくさん選択肢があります。そのため、工夫次第で税金を抑えられるのです。
●難点1:役所での手続きが2回
しかしその反面、デメリットもあります。その1つが「手続きが面倒くさい」という点です。
「申告した方がトク」というメリットがあっても、やはり確定申告は面倒な作業です。特に「配当金の節税」は大変でした。
株の確定申告①配当金は「所得税は総合課税で申告、住民税は申告不要」が節税…ってナゼ?注意点も解説
配当金を総合課税で確定申告をするのですが、これだけだと、住民税も申告分離課税の5%ではなく10%で課税されてしまいます。住民税率を5%に抑えるなら、所得税の確定申告をした後、市区町村に足を運び、配当所得に関して「申告不要」の手続きをしなくてはなりませんでした。
日中に仕事がある人や忙しい人にはハードルの高い手続きだったのです。