天気予報において、「曇りのち雨」や「曇り時々雨」となっているのに、降水量が「0mm」と表現されることがあります。「0mm」であれば雨は降らないはずなのに、なぜ「曇りのち雨」や「曇り時々雨」と示されているのでしょうか。これらは、矛盾しているのではないかという素朴な疑問も浮かんでくるところです。今回は「わずかなものは無視する」という「少額省略」の考え方を検討します。
雨が降るのに降水量0mm
「0mm」というのは、「雨が降らない」という意味ではないのでしょうか。
この点、実は、天気予報では「0.0mm~0.9mm」までの降水量のことを、「0mm」と表現することとされているのです。すなわち、限りなく1mmに近い雨が降る予想でも、表現上は「0mm」になってしまうのです。
このことを知らないと、「0mm予想だったのに雨が降ったじゃないか」などというとんちんかんな発言をすることにもなってしまうのですね。「0mm」は雨が降らないことを意味するのではなく、むしろ「0.9mm」までの雨が予想されていることを意味しているというわけです。
重要性の原則
さて、法人税法22条4項は、同法上の所得金額の計算において、益金の額や原価・費用・損失の額については、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従う」ことを示しています(企業会計準拠主義)。
これは「公正処理基準」と呼ばれ、企業会計の慣行として長らく定着したようなものであって、それが一般に公正妥当であるものを指しています。例えば、企業会計原則には一般原則として様々な諸規則が示されていますが、このような企業会計のルールの多くは上記の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(公正処理基準)」に当たると理解されています。
もっとも、企業会計原則のすべてが、当然に公正処理基準に該当するといえるかについては議論があるので注意が必要です。
例えば、企業会計原則の示す考え方の中に「重要性の原則」という極めて重要な原則が盛り込まれていますが、この原則は、法人税法の益金の額や原価・費用・損失の額を計算するに当たり、公正処理基準として法人税法上の基準となり得るのでしょうか。投資家などの利害関係者保護の観点から、重要性の乏しいものについては簡便な方法での処理を認めるのが重要性の原則ですが、企業の判断においてある種のメリハリを許容するこの考え方を、そのまま法人税法上の基準として持ち込むことはできるでしょうか。