3.文化人類学の視点

あたりまえを疑う。言うは易し、ですが、思うようにできないのが普通です。

我々が当然としている「あたりまえ」を遠くから見直す、客観視することによってこの世界のあり方を捉えなおすのが文化人類学という学問です。

歴史や生活、言語といった観点から異文化をどのように理解するか。そこからステレオタイプ的に思い込んでしまっている“常識”に対して「ほんとうにそうなのか?」と問いなおす。

異文化とビジネスの違いはありますが、偏りがちな思考の見直しを教えてくれる1冊です。

4.福田恆存「人間の生き方、ものの考え方」

私たちが日頃、当たり前すぎて深く捉えず流してしまうようなごく普通の事を、改めて丁寧に掘り起こしています。そして私たちが使っている言葉が、一人一人、その意味合いが違っており、それらを理解することの難しさと多くのことをいかに「表面的に」見過ごしてしまっているかを再認識させてくれる1冊です。

5.幸田文「流れる」

昭和30年代の東京下町、いわゆる「お茶屋」を舞台にした人間模様を描いた1冊です。

ミステリー小説のような起伏に飛んだ展開は一切ありませんが、寮母、掃除婦、犬屋の女中など泥臭い世界を散々見てきた40すぎの主人公「梨花」を通して、−さながら、漱石の「吾輩は猫である」のように−置屋に出入りするさまざまな人々の深い心情を、タイトルどおり「流れる」ように描いている1冊です。

おススメの本の読み方

本の読み方おススメの読み方は2つです。

1つめは「要約」。

1章、1節単位で読み進んだら、一旦、それまでの内容を「頭の中で」要約してみる。ノートやポスト・イットに書き出してもいいのですが、できれば「頭の中で」言語化してみましょう。

 

もう1つが、「問い」を立てながら読むこと。

本をただそのまま読むのではなく、読んでいてひっかかる箇所があれば、そこで自分なりの「問い」を立てながら、読みすすめる方法です。

どうして、著者はこういう主張をするのだろう。なぜ、この切り口なのだろうなど、といった具合です。読んでいて納得できない箇所もあるでしょう。そうしたときに、この「なぜ」という”因果的推論”が読書の深みを増してくれます。

 

以上、5冊の本をご紹介しました。

読書はあまり、という方もいらっしゃるかもしれません。

特に、ご紹介したような人文系の書籍には少々特有のとっつきにくさがあります。

しかし、だからこそ日ごろ使わない脳の筋肉をこれでもかと駆使することになります。

すぐ答えに繋がることはありませんが、地層のように着実に「思考の範囲」を広げてくれる効果を持っています。


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