3.東京プロマーケットとマザーズにおいてIPO上の法務デューデリに違いはあるのか

一般的にマザーズと比べて短い準備期間で上場するのが、東京プロマーケットです。
法務デューデリで見るべき観点が、東京プロマーケットとマザーズとで特別に異なるということはないと思いますが、準備期間が短い分、東京プロマーケットにおけるデューデリはその分よりタイトな日程でみなければならないということは言えるかもしれません。
4.IPOとM&Aの法務デューデリの違い

IPOの際の法務デューデリとM&Aの際の法務デューデリとの違いについては、ご依頼いただくタイミングにもよりますが、M&Aのほうがさらに短い期間での業務完了を求められる場合が多い印象はあります。また、M&Aでは、一般的に買い手側と売り手側で利害関係がありますので、M&Aの取引条件を巡って時には厳しい交渉にもなりえますし、その交渉材料として法務デューデリの結果が前提となる場合も多いので、買い手側の弁護士としては、そのことも十分頭に入れて、売り手側の企業が持つ法的リスクを洗い出す必要があります。IPOの際の法務デューデリにおいても、対象会社の法的リスクを洗い出すという点では共通していますが、その目的は、上場を支援し、また上場後も適切にビジネスを遂行していただくということになりますので、対象会社と一緒に法的課題を一つ一つ是正・解消する方策を考えていけるというのは、上場支援ならではのやりがいを感じるところではあります。
M&Aにおいて法務上の問題があった場合、どのように評価額に影響を与えるのか
M&Aの法務デューデリにおいて、未払い残業代やビジネスモデル上の法的問題点が発覚した場合に、それらの価額やリスクをどのように譲渡価額に落とし込むかについては非常に難しいところです。会計士や税理士の先生方から数字としてのリスク評価分析をしていただき判断されることも多いかと思いますが、法務の観点からは、表明保証条項をきちんと作り込むことや、支払サイトをある程度長期にして簿外債務が後から発見された場合には譲渡対価と相殺する規定を設ける等、契約書による手当てを中心に意見を述べることが多いと思います。
5.東京グリーン法律事務所について
■東京グリーン法律事務所
弁護士 古郡賢大 先生(東京弁護士会所属)
http://www.greenlaw.ne.jp/docs/lawyer/lawyer.html#%E5%8F%A4%E9%83%A1%E8%B3%A2%E5%A4%A7
2000年より虎ノ門にオフィスを構える東京グリーン法律事務所は、2022年1月現在16名の弁護士が在籍しています。各弁護士は、それぞれ様々な分野に対応可能な専門的知識・経験を有しており、また事務所のスケールメリットを生かして多数の弁護士がチームを組んで事件を処理することが可能な体制が整っています。また、税理士、会計士、弁理士及び司法書士等の隣接業種との連携により、お客様の多様なニーズにワンストップにてお応えすることのできる体制を構築されています。なお、東京プロマーケットの上場支援業務にも事務所として積極的に取り組んでおり、上場支援された会社は20社ほどになるとのことでした。
今回、お話をお伺いした古郡先生は、IPOやM&Aにおける法務デューデリジェンス業務や、IT、建築、不動産、飲食、教育、医療、エンターテイメント等、幅広い業界の法律顧問業務に従事されており、最近はESG投資における法務支援にも高い関心をもって活動されているとのことでした。また、民事訴訟だけでなく、建築訴訟、労働訴訟、行政訴訟といった高い専門性が要求される類型の争訟対応も数多く経験されています。
6.まとめ
今回のお話で古郡先生は、上場支援のやりがいとして、対象会社と一緒に法的課題を一つ一つ是正・解消する方策を考えていけるという点を挙げていらっしゃいましたが、このことは会計側で業務を行う場合も同様に感じました。
また、上場支援に際して、会計側と法務とは基本的な役割分担があるものの、法的な分析と財務的な分析の双方が影響し合う分野もあるとのことで、古郡先生からは「ぜひ上場支援に携わる会計士の先生方とは、キックオフミーティングの時などに、名刺交換にとどまらず、積極的にコミュニケーションをとらせていただきたい」とのコメントもいただきました。会計士と弁護士とが積極的に連携して、円滑に上場支援を進めましょう。
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