IPOは長期的な対応が必要です。長期的な対応が必要ということは、対応する人材や資金が必要になるということ。現実問題として、IPOのチャレンジをし得るのか否か、計画を立てることが大切です。本記事では、従業員の目線を踏まえながらIPOを目指すために必要なことについて解説していきます。

目次

  1. 採用・体制
  2. 資金計画
  3. 中期経営計画
  4. 予備調査
  5. まとめ

1.採用・体制

IPOには人材が必要です。売上が単に上がれば良いといった話ではなく、コンプライアンスを意識した会社のマネジメントを運用できる人材が必要となります。

わかりやすい例を挙げると、IPOチャレンジを始めたことによって新たに設けることになった仕組みのための人材です。監査役を設置していなかった会社であれば監査役が必要になったり、決算書を証券市場に開示するための資料を作れる経理の人材がいなければ必要になったりするといった具合です。

IPOによって仕組みが強化されると、作業量が増えるとともに、会社の組織規模も急成長するので、単純に対応するスタッフ自体も増員が必要となります。

上記のようなIPOの仕組み化に直接必要な人材以外にも、必要な人材がいます。IPOは売上や利益を向上させていくことが重要です。組織規模を拡大していくためには、営業パーソンや営業組織の管理職、生産のための人員と全社的に採用が必要となります。

採用は簡単ではありません。採用のステップだけでも、募集のための手続きといった作業や面談の時間といった手間、求人広告のためのコスト、会社説明会を実施する場合には運営費などがかかります。採用後についても配置、教育や組織づくりといった手間やコストがかかります。

IPOは急成長しながらコンプライアンスまで意識した仕組みづくりをしていくため、こういった組織づくりまで含めた対応を全社的に急ピッチでやっていかないといけないわけです。採用は、IPOにチャレンジする上で一番の課題だったと語る経営者もよくいるくらい重要な要素です。

このためIPOの戦略を考えるということは、急成長させる会社の採用活動から教育・組織づくりについて、会社の成長をステップに分けるなどイメージしながら計画立てることになります。

2.資金計画

IPOにチャレンジするための資金計画には、2つの要素があります。1つ目はIPOのチャレンジにあたって新たに発生するコストです。先に述べた採用活動から教育・組織づくりといったコストはイメージしやすいでしょう。

他にも監査法人への監査報酬や証券会社への株券の名義書換料などの支払い、IPOコンサルティング会社へのコンサルティング料、各士業への顧問料など様々な当事者への支払いが必要となります。

ざっくり言えば、一般投資家向け市場のマザーズの上場には最低3億円、上場してからの維持費用には3千万円と言われています。会社の規模によってはこの数倍がかかります。プロ機関投資家向け市場の東京プロマーケットは最低3千万円、上場してからの維持費用は2千万円と言われています。

 

2つ目は資金繰りという観点です。IPOにチャレンジしている会社の資金繰りは、通常の会社よりも難しいです。組織規模が大きくなると、当初足りていた資金では回らなくなるということもあるからです。せっかくの事業拡大チャンスや仕入れが出来ず、取引ができないということが起きないように気をつける必要があります。

しかし、資金調達はお金が必要になったらすぐに実現できるわけではありません。業績の良い会社でも1~2カ月は申込みから着金までにかかります。口座開設からとなると2~3カ月必要になります。このため、資金需要は早い段階から深く検討し、ゆとりを持った資金計画を行うことが重要です。

3.中期経営計画

IPOを目指す会社が、IPOを目指す前からIPOに必要な状況をすべてクリアしていることはまずないです。そして、大概の場合は、売上や利益についても成長していけることを前提にIPOを目指しています。

会社のマネジメントは組織の大きさによって在るべき形が異なります。成長していくということは、いきなり最終的なゴールの形になればよいわけではなく、成長に合わせて在るべき形にステップアップしていくことが必要ということです。

こういった場合、何も説明されていないと従業員としては、「また組織が変わった」、「経営者が迷走している」といった不信感を抱く方が多いです。経営者としても、その時々の会社の状況に応じて場当たり対応していては、変化の大きな経営環境において、組織が不安定になりマネジメントしきれないでしょう。

 

このようなことを防ぐためには、予め経営環境を予測し、採用や資金繰りを含めて事業や組織をどうしていくか会社の計画を中長期目線で立てておくことが大切です。これが中期経営計画です。

中期経営計画は3カ月に一度ほど見直すことが重要です。ビジネス領域の環境が変わったときや、計画当初と異なる状況が発生した場合は、計画はよりも短いタイミングで変更してもよいでしょう。

中期経営計画は会社の機密事項にも関わる話のため、全部を伝えるべきかは状況によります。しかしながら、少なくとも従業員にも必要な範囲は説明しておくことが大切です。会社の戦略に対して同じ目線をもつことで、全社一丸となって取り組みやすくなり、不要な不協和音を回避することに繋がるとともに、モチベーション増加にも繋がります。

4.予備調査

会社の事業計画は、IPOにも詳しいコンサルタントにサポートしてもらいながら作ることも大切ですが、IPOの実現可能性や課題を理解できる予備調査を確認することも大切です。売上や利益があるだけではIPOは成功しないため、専門家の判断を取り入れ、課題を明確にして取り組むべきでしょう。

このため予備調査は、IPOを目指し始める段階で実施します。予備調査は、監査法人や証券会社、弁護士などが連携して短期間に調査を実施するので、ショートレビューと呼ぶこともあります。

 

IPOは簡単ではないため、やる気だけでは事故にしかなりません。事故は労力やコストについて大きな負荷をかけたので挫折し、従業員たちのモチベーションが著しく低下して会社が崩壊してしまうことです。実力のある人ほど残ってもらいにくいでしょう。IPOを従業員がよく理解していないのに、IPOを夢の世界への切符のようにスローガンとして掲げ、何年もIPOを実現できずに空中分解しはじめる会社は意外と少なくない事実です。

5.まとめ

IPOを目指すためには、その場その場での対応だけではとても対応しきれません。採用や資金調達が必要となるため計画が重要です。その計画は、変化の影響を大きく受ける従業員にとっては、不安にならないための材料としても役に立つでしょう。

IPOを目指すような勢いのある企業の経営環境は目まぐるしく変わるため、計画は柔軟に変更していくことも大切です。IPOを目指すのであれば、まずはIPOを目指すために必要なことを学ぶことが重要でしょう。

 

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