紙の本が生まれて500年以上。かねてより本の市場は厳しいと言われていますが、直近のコロナ禍では意外な変化を見せました。
「儲けのしくみ・ビジネスモデル構築の極意」、第55回のテーマは「本」です。

本の市場規模

まず、その市場規模です。
本の世界は厳しいと言われて久しいですが、直近の3年間は大きな伸びを見せています。
いわゆる「巣ごもり消費」が後押ししました。

単位:億円
出典:「出版月報」/公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所

 

出版科学研究所によると、2021年は紙と電子書籍の合計で1兆6,742億円。前年比で3.6%増。2019年から3年連続で右肩上がりを続けています。特に、電子書籍が好調で前年比18.6%もの増加。その規模4,662億円。一方、紙媒体は、15年ぶりに増加転じたものの、雜誌の休刊などにより全体の縮小傾向に歯止めがかかっていません。

書籍自体の伸びが確認できる一方で、書籍販売の顔である書店はどうなっているのか。

一般社団法人日本出版インフラセンターが毎月発表している「書店マスタ管理センター 登録軒数表」によると、直近5年間の書店数は、紙の本と同様減少傾向が続いています。

店舗数増減の内訳である「新規店」と「閉店」の推移を見ても、新規店のトリプルスコア以上の閉店が続いていることから、その厳しさが強く伺えます。

出典:一般社団法人日本出版インフラセンター「書店マスタ管理センター 登録軒数表」

 

紙から電子書籍へ移行しつつ、市場全体のボリュームは増加傾向にある一方で、街の書店が漸減し続ける流れは止まりそうにありません。