駐在員事務所は現地で課税されるのか?

国際課税では、事業所得について「恒久的施設(Permanent Establishment: PE)なければ課税なし」という大原則があります。

駐在員事務所は単なる情報収集等を行なうための拠点であって営業活動を行なう訳ではないため、恒久的施設(PE)に該当しないと考えられています。そのため、通常、駐在員事務所は現地で法人税の申告・納税を求められることはありません。

恒久的施設(PE)の範囲については、国内法と租税条約で異なる定めが置かれている場合があります。その場合には、租税条約の規定が優先されます。租税条約上の恒久的施設の定義は様々ですので、必ず租税条約を確認しなければなりません。

例えば、日中租税条約第5条(恒久的施設)第4項では、恒久的施設に該当しないものについて、以下のように規定されています。

 

第4項 1項から3項までの規定にかかわらず、「恒久的施設」には、次のことは、含まないものとする。

(a)企業に属する物品又は商品の保管、展示又は引渡しのためにのみ施設を使用すること。

(b)企業に属する物品又は商品の在庫を保管、展示又は引渡しのためにのみ保有すること。

(c)企業に属する物品又は商品の在庫を他の企業による加工のためにのみ保有すること。

(d)企業のために、物品若しくは商品を購入し又は情報を収集することのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。

(e)企業のために、その他の準備的又は補助的な性格の活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。

 

このように、日中租税条約では、情報収集などを中心に行なう場所や、準備的又は補助的な性格の活動を行うためにのみ使用する場所は恒久的施設には当たらないとされています。

しかし、駐在員事務所という位置付けであっても、その拠点が営業活動を行っていると現地の税務当局によって判断されると、PE認定され、現地国で課税される可能性があります。

一般的にアジア諸国では、PEの範囲を広く捉える傾向があり、駐在員事務所をPE認定して積極的に課税してくる可能性があるので注意が必要です。

スタッフの人件費は現地で課税!

駐在員は通常1年以上に渡って現地で勤務することから、日本の非居住者、すなわち現地国の居住者となります。
したがって、駐在員事務所で勤務する社員に対して、日本本社から支給される給与は、原則として現地で所得税の課税対象となり、現地国での納税が必要となります。


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