近年、企業の海外進出は大企業のみならず、中堅・中小企業でも一般的となっています。海外進出するにあたっては、どのような形態で進出するかを選択しなければなりません。進出形態としては、「駐在員事務所」「支店」「子会社」がありますが、まずは「駐在員事務所」を開設して現地の市場調査等を行うケースも多く見られます。

企業の海外拠点の状況

近年、日本企業にとって海外市場の重要性は一段と高まっています。
以下のグラフは、ジェトロがジェトロ・メンバーズ(ジェトロの会員制度への加入企業)を対象に行なったアンケートの結果です。
それによると、海外に拠点を持つ企業738社の拠点所在地は、「中国」が60.3%で最も多く、以下「タイ」37.1%、「米国」35.6%の順となっています。
近年では、親日国であり経済成長の著しいベトナムへの進出が目立っています。

(出典:JETRO「2021 年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」)

海外進出の形態

企業が海外進出する際の形態としては、「駐在員事務所」「支店」「子会社」の3形態が挙げられます。

企業が更なるビジネス機会の拡大を求めて海外進出する場合、当初から海外子会社を設立するケースも見られますが、一般的には、現地の市場調査や今後の本格的な進出に向けての情報収集等を行なうため、「駐在員事務所」を設置するケースが多いと思われます。

駐在員事務所で発生した経費は?

駐在員事務所とは、現地の市場調査や情報収集、広告宣伝活動等を行なうための拠点です。
駐在員事務所では営業活動は行なわないため、収益は発生しません。ただし、駐在員事務所には物理的な拠点があり、スタッフもいますので、人件費やオフィスの賃借料などの費用が発生します。

このように駐在員事務所で発生した経費については、駐在員事務所はあくまで日本法人の一部であることから、そのまま日本法人の費用に合算されます。これは、駐在員事務所のメリットの一つと言えます。