今回の実力派会計人は、公認会計士・高井良拓紀(たかいら ひろき)氏。大手監査法人を経て、フロンティア・マネジメント株式会社(東京都・港区)に入社。マネジメント・コンサルティング部門の経営改革推進部において、事業再生業務を通じ数多くの企業に対し経営支援を行ってきた。2018年からはハンズオンと呼ばれる常駐型の支援業務において地方百貨店に役員として出向。常駐2年目でコロナ禍となったが、売上向上のためにとった戦略とは…?これまでのキャリアそして、自由度の高いフロンティア・マネジメントの魅力に迫ります。(取材・撮影/株式会社レックスアドバイザーズ 市川)

幅広い経験を積みたい。フロンティア・マネジメントへの入社のきっかけ

これまでのキャリアを教えて下さい。

高井良:公認会計士を目指したきっかけは、自営をしている親戚がいたので、経営支援のようなことがしたいと思ったのと、なにか手に職をつけて働きたいと思ったからです。

様々な資格がある中で、経営に携われるのと、キャリアパスの幅広さから公認会計士を目指しました。

大学3年生の頃です。

24歳のときに試験合格をし、その後、あずさ監査法人に入所しました。

ここでは、国際事業部を希望し4年弱ほど従事しました。

国際事業部を選んだ理由としては、この頃は、誰もが知る有名な企業を担当したいと思ってのことでしたが、実際に大きな法人を担当させていただき、たくさんの仲間と協力しながらミッションを進めていく仕事内容に充実感を得ていました。

とはいえ、公認会計士として”自分一人ではなにもできない”もどかしさも感じていました。

早くから起業した友人にアドバイスもできず、公認会計士を目指した当初の、近くに寄り添い経営支援をして、私自身のスキルを活かしたいという気持ちが蘇ってきました。

こうして転職を考えたときに監査法人での経験を土台として、コンサルティング会社で働きたいと思うようになりました。

いくつか面接をしている中で、フロンティア・マネジメントに決めた理由は、常駐支援(ハンズオン)を得意としているので、現場寄りで入り込むことができるから。

また、そのほか経営コンサルティングやM&Aアドバイザリー、デューデリジェンス(DD)など公認会計士のスキルを活かせる環境が用意されており、個の希望に応じて柔軟に経験が積める風通しの良さにも魅力を感じました。

入社後、配属先は事業再生の部署でした。

ここは、経営改革支援及び再生支援などを行う部門で、窮地にある企業様の場合、緊急対応が必要なケースもありスピード感も必要がゆえに、配属当初は監査法人との仕事の違いに慣れるまでとにかく必死でした。

でも、数をこなせる分、事業再生業務の基礎は学ぶことができたと思っています。

3年が経ち、もっと会社寄りに近づきたいのと、役員の経験をしてみたいなと思い常駐支援(ハンズオン)業務を希望しました。

入社時から風通しの良さがある社風だとは思っていましたが、相談をしてすぐに希望が通ったのは、やる気にも繋がりました。

アサインされたのは地方百貨店。

昨今、百貨店の課題としては、元々強みとしていた“ハレの日にする買い物”という特別感がバブル期以降、敷居の高さに代わり、またカテゴリー・キラーと呼ばれる特定の商品分野に限定して、豊富な品揃えと低価格を強みとしている大型量販店の出店により太刀打ちできない状況に追い込まれるなど、売上低迷が続いている業界でもあります。

私が担当させていただいたクライアントも同様の状況で、特に利用者の高齢化が進むことに加え、若い世代が足を運んでいないがゆえに新規顧客獲得に苦戦をしている状況でした。

私のミッションとしては、その百貨店の役員として出向をし、経営企画代行や、経営執行、長期戦略策定や新規事業創出をする仕事でした。

V字回復を目指すもコロナ禍に…高井良氏がとった施策とは?

ここでの具体的な経験を教えて下さい。

高井良:まず初めに行ったのは、<原価・コストカット>です。

具体的には、システムの入れ替えや、電気代の見直しに伴う業者の再選定、ビルの点検会社の見直しやエレベーターの保守点検料が適切なものかなど、とにかくひとつずつかかっているコストの見直しを行いました。

一見、地道な作業に見えますが、電気代も大型テナントであれば月に何百万もの節約になります。

同時進行で行ったのは、どうしたら街の人が百貨店に来てくれるか、ということでした。

ここで行ったのは、とにかく街のことを知る、ということ。

地域の中学校の課外授業に参加をして、地方の百貨店は今後どうしていくかなどディスカッションをしたり、行政のイベントでパネラーになるなど、その街に住む方が何を求めているかを探し続けました。

戦略が「絵に描いた餅」にならないよう現場を知ることにも注力しました。

お正月はおせちの受け渡しをするスタッフが足りないということで朝の4時から一緒に働いたり、現場のスタッフとお客様対応をしたり、一般的にいう公認会計士の仕事ではないですよね(笑)。

でも、その中で生まれたコミュニケーションから人を繋いでもらったりなど人脈を広げることができました。

フロアのリニューアルも進め、地元で有名なレストランを誘致し、新たな客層を迎える準備を進めました。

しかし、フロア工事が終わったころ、コロナ禍となりピンチが訪れます。百貨店も緊急事態宣言に伴い、客先が遠のいてしまったのです。

ステイホームの中、どうしたら百貨店に出向いてもらえるのか…。

どうしようかと考え抜いた結果、思いついたのが、そのエリアにないファッション・ブランドを誘致することでした。

お客様にアンケートをとり、どのブランドグッズがほしいかをリサーチ。

その中から上位だったブランドに電話やメールで直接営業をかけました。

しかし、やはり都内で成功しているブランドはECサイトも発達しており、地方出店は腰が重いのが現状。

相手にしてもらえないことがほとんどでしたが、それでも毎日、諦めず社内の人脈にも頼り、取引先開拓を続けました。

ここでの学びは、メールも電話営業も経験がなかったのですが、“解決策を模索し続ければ光が差し込む日がくる”ということです。

コラボが実現したファッション・ブランドが出店したその日、寂しかった百貨店が人で賑わう様子は、目に見える結果となり嬉しかったですね。

売上に対するプレッシャーはありましたが、地元の温かい人たちに囲まれ、助けていただいた日々は、私にとって大きな財産となりました。

こうして3年が過ぎ、任務完了に伴い本社へ帰ることになります。

「真の再生とは」フロンティア・マネジメントでの新たな挑戦

3年間の日々を振り返りいかがでしょうか。

高井良:常駐支援を通じ、私に残ったものは何だったのかと考えたときに、公認会計士としてのスキル以上に、結局のところ<私一人では何もできなかった>と気づけたことが大きな収穫でした。

フロンティア・マネジメントに入社をしたのは、公認会計士として、なにか自分の力で成果をあげたかったという理由からです。

しかし、結局は周囲のご縁に助けられ、協力をしてもらうことで結果に繋げることができたので、私一人でできたことはごく僅かだったのかもしれません。

ちなみに、私は車を持っていなかったのですが、毎日誰かが送ってくれたり、休日に飲みに行けば、本来はよそ者の私を家族のように温かく迎えてくれる人たちや、フットサルを一緒にやってくれる同世代の友人にも恵まれました。

期限がある仕事だったからこそ、全力で私も向き合いましたが、そこに対し応援してくれるご縁があったことは感謝してもしきれません。

また、本当の意味での企業を「再生」させるためには、地に足をつけ内部に入り込み、現実的な成長戦略を掲げていけるかが大事な要素になってくると改めて思いました。

再生局面にある企業は、通常の企業とは異なり「ヒト」「モノ」「カネ」「時間」これらに制限があるところからのスタートであり、制限のあるリソースの中で、成長戦略を描くことは容易ではないでしょう。

だからこそ、私のようなコンサルタントこそ、足を動かし街や周囲を知った上で自ら動くことが必要になってくると思います。

マルチタスクが多い仕事だとは思いますが、ただ理想を述べているだけでは会社は変えられないのです。

フロンティア・マネジメントに入社をして7年が経過しますが、手を挙げれば常駐支援を任せてもらったりなど、キャリア構築のために様々なチャンスが用意されているのは弊社ならではだと思います。

現在は、都内で別の会社の常駐支援をしていますが、その企業様ごとに課題があるため、経験をただそのまま使うだけではなく、しっかりと歩み寄り、それぞれに合わせたオーダーメイドの課題解決が必要だと感じます。

そういった意味ではスキルを活かしながらも、常に新たな課題に対峙し続けられるので、いつも新鮮な気持ちでいられます。

弊社は、M&A、アドバイザリーなど様々な仕事内容があり、転職をしなくても色々な経験ができるので、幅広くご経験を積みたい方であればご活躍できる環境かと思います。

私は常駐支援を希望しましたが、転勤を希望しない方はもちろんそれも叶いますので、ライフスタイルに合わせてアサイン先を決めることができますよ。

 

【編集後記】

0からのスタートだった常駐支援。周囲を巻き込みながら協力者を見つけ、キャリアアップをされた公認会計士のキャリアでした。高井良様、ありがとうございました!

フロンティア・マネジメント株式会社

●設立

2007年1月4日

●所在地

東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー41階
愛知県名古屋市中村区名駅2-45-14 東進名駅ビル4階
大阪府大阪市中央区道修町3-1-6 K.シオノビル4階
他:シンガポール支社、ニューヨーク支社

●理念

「クライアントの利益への貢献」
「ステークホルダーの利益への貢献」
「社会への貢献」

●会社HP

https://www.frontier-mgmt.com/

 


個別転職相談(無料)のご予約はこちらから
いつでも簡単に。さらに見やすくなったKaikeiZine公式アプリKaikeiZineアプリ

最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。

 

◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします

メルマガを購読する