通勤、通学、旅行など生活全般において欠かせない「移動手段」。
今、その姿は大きく変化しようとしています。
「儲けのしくみ・ビジネスモデル構築の極意」、第58回のテーマは「移動手段」です。
移動手段の種類と性質
日頃、わたしたちの生活に欠かすことの出来ない移動手段。
テレワークが一般的になり、自宅やサテライトオフィスだけでほとんどのことを済ませることもできますが、それでもなお、どこかに移動するということは避けられません。
さて、そんな移動手段にはそもそもどのような種類があるのかを見ておきましょう。
ざっと、以下のようなものがあります。

いずれも馴染み深いものばかりで、説明は不要でしょう。
この一覧から移動手段には大きく2つの性質を確認することができます。
1つは、「社会インフラ」です。
水道、電気、ガス、インターネットと並び、わたしたちが生活していく上で欠かすことができない、いわゆる社会資本の1つです。
新型コロナウィルス感染症のような一時的な影響を除いて、その必要性がなくなることは今後もありえません。
もう1つはビジネスから見た性質。「参入障壁」です。
ご覧の通り、電動キックボードを除いて、バスやJRなどいずれもビジネスとして参入するには、莫大な設備投資と関連法規といった巨大な参入障壁が立ちはだかっています。
今からタクシービジネスに乗り出す。
どのくらい資本投下が必要なのか、概算も困難です(タクシーに適した車両✕N、事業所、タクシードライバー、通信設備、タクシーに設置するドライブレコーダーや決済システムなどのハードウェアなど、車両数に応じて必要資本が比例するため、想像以上にかかる可能性が高い)。
また、競合の多さというネックもあり、ビジネスとしての魅力は十分とは言えません。
とはいえ、その一方で1つめの性質である社会インフラに目を向けると、「継続的な収益性」という側面も浮かんできます。
時折、ニュースなどで鉄道会社が赤字というのは耳にしますが、JRの地方路線の廃線を除いて、そう滅多に倒産というケースはありません。
また、その安定した財務性から投融資の対象(銀行や投資家が資金を投資しやすい)としての強さも持ち合わせています。
移動手段の背景の変化
他にはない安定した収益性がある。しかし、巨大な参入障壁によって阻まれている。
移動手段のビジネスに取り組むことは現実的ではない。
数年前であれば、これが結論だったでしょう。
しかし、コロナ禍を経た現在、事情は大きく変わっています。
その最大の背景が政府による「デジタル田園都市国家構想」と国土交通省が進める「MaaS(マース:Mobility as a Service)です。
- デジタル田園都市国家構想実現会議/内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/index.html
- モビリティサービスに関する国交省の取組みについて/国土交通省
https://www.jttri.or.jp/symposium220328-01_1.pdf
デジタル田園都市国家構想とは、デジタルインフラの整備によって東京などの都市圏と地方都市をシームレスにつなぎ、地方を活性化させるというもの。
MaaSは、その中で新しい社会インフラとして位置づけられた移動手段構想です。
このような構想をベースに、地方の衰退や人口の3割が65歳以上という諸事情からこれまでのような長距離・大量輸送前提の機能が見直され、ラストワンマイルなどでの新しい移動手段が次々と誕生しています。
例えば、デマンド型交通と呼ばれる「予約型」のバスやコミュニティタクシー。
「滋賀県米原市のまいちゃん号」
https://www.city.maibara.lg.jp/soshiki/chikishinko/mai_tiiki/chiikisin/kotsu/7631.html
さらには、一覧にある電動キックボードのようなラストワンマイルでの移動手段として、
「次世代電動車椅子・近距離モビリティ WHILL(ウィル)」/WHILL株式会社
といったものが登場しています。
なお、こうしたこれまでの移動手段の概念を覆す取り組みは、国内よりも海外が一歩先んじている傾向があります。
ボロコプター/ボロコプター有限会社(独)
これまでの巨大資本を必要とする移動手段では、到底参入は考えられませんでした。しかし、従来からの前提が変わろうとしている現在、その可能性は0ではありません。
もちろん、一定規模の開発費用等が想定されるものの、一方でクラウドファンディングや補助金などの活用により設備投資を必要とする他のビジネスよりも比較的参入しやすさが残っています。
まとめ
インフラビジネス=固定費ビジネスは一度成立してしまえば、半永久的な収益を期待することができます。
今あるビジネスとはまるで異なるものかもしれませんが、考えるのは無料です。
ぜひ、今までの常識を超え、新しい移動手段を考えてみてください。
想像を超える莫大な利益につながるかもしれません。
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