社会人であれば基本的に誰でも払う住民税。しかしその納税額の計算方法はご存知ですか?この記事では、自治体へ納めている住民税がどう算出されているのか、わかりやすく解説します。

住民税とは?ざっくり解説

住民税とは、自治体が行う行政サービスにかかる費用をまかなうための税金で、社会人であれば基本的に誰であっても納税義務があります。

会社勤めをしている方であれば、特別徴収として毎月給与から天引きされていますし、個人事業主やフリーランスなどの特別徴収をされていない方であれば、年に4回自分で納税していることでしょう。

また、住民税は自分が住んでいる地域に対して納税するもので、市区町村によって金額が異なることもあります。

住民税を自分で納めている方だけでなく、給料から毎月自動的に天引きされている方も、本記事を読んで、どういう仕組みで納税額が決まっているかを理解しておきましょう。

住民税の計算方法は2種類に分類される

住民税の計算式は、基本的に「所得割の金額」+「均等割の金額」で表すことができます。

所得割、均等割についてそれぞれ解説します。

所得割

所得割とは、所得の額に比例して課税されるものになります。

所得割は、前年度の課税所得金額の10%と定められています。

この10%の内訳は、「市町村民税(東京23区在住の場合は特別区民税)」+「道府県民税(東京都在住の場合は都民税)」となっています。

住民税の計算方法で複雑なのは、所得割です。例を挙げて説明します。

・年収480万円単身の方の場合(東京都江東区の例:住民税の税率・計算例(その1)|江東区

単身世帯で給与収入が480万円、年間の社会保険料は449,753円、生命保険料控除は69,500円。

所得割の税率は10%(都民税:4%、特別区民税:6%)。

  1. 所得金額の算出

4,800,000円(給与収入)-1,400,000円(給与所得控除)=3,400,000円(給与所得)

  1. 所得控除額の算出

・社会保険料控除:449,753円

・生命保険料控除:69,500円

・基礎控除:430,000円

以上の合計で、949,253円(所得控除)となります。

  1. 課税される所得金額の算出

3,400,000円(給与所得)-949,253円(所得控除)=2,450,747円

1,000円未満の端数額がある場合はその端数額を切り捨てるので、

課税される所得金額:2,450,000円

となります。

  1. 所得割額の算出

・2,450,000円×4%(都民税の税率)=98,000円(都民税)

・2,450,000円×6%(特別区民税の税率)=147,000円(特別区民税)

98,000円+147,000円=245,000円(所得割額)

となります。

さらに、計算する際の注意点を紹介します。

・1で用いた給与所得控除は給与収入によって変化するので、自分の給与収入にあった控除額で計算してください(参照:No.1410 給与所得控除|国税庁

・2の所得控除額は、個人的な事情を考慮して、一定の額を非課税対象にすることができるものです(参照:福岡市 個人市民税 所得控除額の算出方法

・4の所得割の税率の合計は、全国一律10%と定められているので、単純に10%で計算したほうが簡単にできます

均等割

均等割は固定金額なので、所得割のように個人の所得により変動することはないです。

均等割税は、基本的には全国一律5,000円(市町村民税:3,500円、道府県民税:1,500円)と定められていますが、自治体によって異なることもあります。

住民税の計算方法

前述したように、住民税は「所得割」+「均等割」という計算方法で求めることができます。

こちらも説明させていただいたように、所得割は個人の所得によって異なる上に、計算が複雑です。均等割は、自治体で固定されており、基本的には5,000円となっています。

所得割で紹介した例から、実際に住民税を計算してみましょう。

所得割は245,000円、均等割は5,000円でした。つまり、

245,000円+5,000円=250,000円

となり、住民税は250,000円となります。

基本は1年間の所得で決まる

先程も述べたように、均等割は固定されている上、5,000円なので比重としては大きくありません。

そのため、毎年少なからず変動する上に比重も大きい所得割の方に、左右されます。

納税方法は特別徴収と普通徴収の2つ

住民税の納税方法は2つあり、特別徴収と普通徴収と呼ばれています。

会社員などは特別徴収です。特別徴収は、自分で納税する必要はなく給料から天引きされます。

個人事業主やフリーランスなどは普通徴収です。普通徴収は、自分で自治体に納税する必要があり、支払時期は6月・8月・10月・1月の年4回です。

普通徴収は、毎月6月頃に住民票がある自治体から納付書が届くようになっているので、それに従って納付する流れになります。

先ほど計算した住民税を例に、2つの納税方法で、それぞれ1度に支払う納税額を見てみましょう。

・普通徴収の場合

住民税は250,000円、支払いは年4回で、

250,000円÷4=62,500円

・特別徴収の場合

住民税は250,000円、支払いは年12回で、

250,000円÷12=20,834円(※割り切れない場合は12回の給与支払いでちょうど250,000円になるように調整される)

このように1年間で支払う額に変動はありませんが、1度に払う額には違いが出てくることになります。

住民税均等割とは?市町村で異なることも

住民税が「所得割」+「均等割」で求められるというのは、全国どこでも変わることはありません。

しかしながら、自治体によっては所得割と均等割に超過課税を行っている場合があります。

大阪府在住で均等割が超過課税される場合

大阪府では、令和5年度まで、均等割が府民税として300円超過課税され、通常の1,500円から1,800円になります。

理由は、森林の土石流・流木対策及び都市緑化を活用した猛暑対策を実施するためです。

(参照:大阪府/個人府民税

神奈川県在住で所得割と均等割のどちらも超過課税される場合

神奈川県では、令和8年度まで均等割と所得割が県民税として超過課税されます。

超過課税される税率は均等割が300円で、県民税が通常の1,500円から1,800円になります。また所得割は、政令市以外に住所がある方は課税所得金額の4.025%、政令市に住所がある方は課税所得金額の2.025%です。

理由は、水源環境の保全・再生のためです。

(参照:個人県民税 – 神奈川県ホームページ

まとめ

本記事では、住民税の計算方法について解説しました。

住民税は「所得割」+「均等割」で求めることができます。

均等割は基本的に全国一律5,000円と定められているため、ほとんど変動はありません。

それに対して、所得割は個人の所得や事情に応じて変動するので、毎年複雑な計算が必要です。

また、基本は一律の均等割も、所得割も、自治体によっては超過課税といって定められている税額よりも多めに徴収される場合があるため、計算する際は自分の自治体はどうかを確認しましょう。


 

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