国税の納付には多彩な方法があるのを知っていますか。2022年12月1日から始まった「Pay払い」も含め、国税の納付方法について、元国税徴収官が分かり易く説明します。

国税通則法 第34条 【納付の手続】
国税を納付しようとする者は、その税額に相当する金銭に納付書(納税告知書の送達を受けた場合には、納税告知書)を添えて、これを日本銀行(国税の収納を行う代理店を含む。)又はその国税の収納を行う税務署の職員に納付しなければならない。
(以下、省略)

◇国税の納付は現金納付が原則

国税は、原則として金銭(現金)若しくは金銭に準ずる有価証券、または電子納税の方法によって日本銀行(歳入代理店※を含みます。)または税務署の職員(国税収納官吏)に納付しなければなりません。

例外的に、相続税の納付には相続した財産をもって納付(物納)することも認められています。

(「財務省HP」から)

また、自分で申告した税額に基づいて、自分自身で納付の期限(納期限)までに納付書を作成して納付しなければなりません(「申告納税制度」といいます。)。

したがって、申告書の提出後に税務署から納付書の送付や納税通知等のお知らせは原則としてありませんので注意が必要です。

≪参考≫国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)(国税庁HP)

※歳入代理店とは

国税として納付された税金は日本銀行の「歳入代理店」を経由して、最終的には「国庫金」として国に納まります。

日本銀行は、いわゆる「政府の銀行」として国庫金を取り扱っており、その取引の相手方は、一般の国民や企業、全国各地に所在する国の官庁など多岐にわたっています。

また、その取引の種類や取扱件数も膨大であるため、日本銀行本支店だけではその利便を図ることができません。このため、日本銀行では、契約に基づいて、国庫金に関する事務等を民間金融機関に代行してもらうことによって国民や国の利便に応えています。

このように、金融機関の店舗の窓口には、国庫金(歳入金・国税)の受入れのみを専門に取り扱う日本銀行の「歳入代理店」と呼ばれる窓口があります。

歳入代理店は財務大臣の認可を得て日本銀行が委嘱し、その委嘱にあたっては代理店契約が締結され、日本銀行HPの「日本銀行代理店等一覧」に記載されています。

◇スマホアプリ納付

国税庁長官が指定した納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)が運営するスマートフォン決済専用のWebサイト(国税スマートフォン決済専用サイト)から、納税者が利用可能なPay払い(〇〇ペイ)を選択して納付する手続です。

「国税スマートフォン決済専用サイト」は、国税庁長官が指定した納付受託者が運営する国税のスマホアプリ納付専用の外部サイトです。

国税の納付手段の多様化を図る観点から、令和3年度税制改正でスマートフォンを使用した決済サービスによる納付手段(スマホアプリ納付)を2022年1月4日から可能とする制度が創設されました。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症がまん延する中、ICT人材の不足等により、スマホアプリ納付の実現に必要なシステムなどを構築する入札者が現れず事業者の決定に至らず延期されていましたが、今回ようやく、2022年12月1日から利用できるようになりました。

◇6つのPay払いから選べる

利用可能なPay払いは、「PayPay」「d払い」「au PAY」「LINE Pay」「メルペイ」「Amazon Pay」の6種類です。

なお、利用の際にポイントが付与されるものもありますが、詳細はそれぞれ利用される決済サービスにより確認してください。

(「国税庁HP」から)