12月16日、与党により「令和5年度税制改正大綱」が発表されました。様々な取り組みがありますが、今回はインボイス制度と電子帳簿保存法改正についてピックアップしてみたいと思います。

毎年この時期、税理士界隈で注目の税制改正大綱。

今年もNISA、超高所得者に対する増税、相続時精算課税…、様々な改正が盛り込まれています。

個人的には、「防衛費増額」という言葉が不穏だなぁと悲しくなりました。

今回の記事では、私がよくセミナーでお話させていただく「インボイス制度」と「電帳法改正」についてざっくり解説していきます。

インボイス制度、結局どうなるの?

インボイス制度は、益税を減らすために導入されるのに、免税事業者を救うために特例がたくさん出てきて選択肢が増える分、税理士としては判断ミスがないように注意しないとなぁと身が引き締まる思いです。

注目するのは特に2つ。

1つが「免税事業者がインボイス発行事業者になる場合、売上に係る消費税の2割を納めればよい(3年間)」、もう1つが「売上1億円未満の事業者は、1万円未満のレシート等については、インボイスじゃなくても仕入税額控除OK(6年間)」というものです。

1つめの「2割特例」については、事前の届出は不要で、消費税の申告書にその旨を付記すればよいので、実際に計算してみて、有利ならこの特例を使うということができそうで、これはいいですね。

これにより、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の消費税の計算は、1.原則課税、2.簡易課税、3. 2割特例のいずれかから選択することになります。

簡易課税の選択をしていなければ「原則or 2割特例」、簡易課税の選択をしていれば「簡易or 2割特例」です。

簡易課税の場合、卸売業(みなし仕入率90%)以外の業種であれば、2割特例を選択する方が有利になります。

3年間の経過措置ではありますが、「課税事業者になるのは嫌だけど、もらった消費税のうち2割納めればいいのなら、インボイス発行事業者になるかぁ」という気持ちになる事業者も多いかもしれません。

2つめの「1万円未満ならインボイスじゃなくてもOK」は、一定の事業者(基準期間の課税売上高が1億円以下等)は、税込み1万円未満の取引については、帳簿のみの保存で仕入税額控除を認めるというものです。

これにより、1万円未満の飲食や消耗品などの買い物ではインボイスをもらえなくても大丈夫ということになります。

仕入や外注費が、1万円未満ということはあまりないでしょうが…。

そして例えば、9千円と6千円のものを買ったら、2回レジを通ればインボイス不要ですが、合わせて1万5千円ならインボイスでないといけません。

インボイス発行ではないお店で8千円のものを10個買うなら、10回レジを通るといいでしょう笑。

売上1億円未満で原則課税の事業者は、今後、レシート等をもらったら、それが1.インボイスか、2.インボイスではない(1万円以上)か、3.インボイスではない(1万円未満)か、確認が必要になります。