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専業主婦からママ税理士へ 子育てしながら働く!ライフスタイル白書【29】:軽減税率制度のあれこれ②~予想される混乱・事業者への影響など〜

いよいよ、本当にいよいよ消費税増税&軽減税率導入がスタートします。テレビや新聞や雑誌等でも、にわかに特集が組まれていますね。今日は、消費税増税後に予想される混乱や事業者への影響、セミナー参加者から寄せられた質問などについてお話したいと思います。

軽減税率が導入されると私たちの生活はどうなるのでしょうか?まず、レジの混雑・混乱が予想されます。イートインのないスーパーなどでは、事前に8%と10%の商品をレジに登録しておくと思うので(その対応もとても大変でしょう)その登録に間違いがなければ特に混乱はないと思いますが、イートインかテイクアウトかで税率が変わることから、レジでそれを区別する必要があり、ひと手間が増えます。慣れないうちは時間がかかるでしょうし、お客様からの質問やクレームも増えそうです。どんなにレジが混雑していても、私はあたたかい目で店員さんを見守りたいと思っています……。

そして8%と10%の両方の商品の販売があるお店や会社は、8%対象と10%対象の商品を区分して記載した「区分記載請求書等」を発行する必要があります。

なぜかというと、今の日本の『事業者が納める消費税』の計算では、例えば、¥10,900(内消費税¥900)の場合、この消費税額900円を直接使うのではなく、税込み(8%対象)×8/108または、税込み(10%対象)×10/110で計算した金額を使うからです。¥10,900(内消費税¥900)の領収書では、この計算ができません。

そこで、¥10,900円の領収書等に、¥5,400(軽減税率対象)と¥5,500(標準税率対象)と分けて記載します。そして5,400×8/108(=400)と5,500×10/110(=500)で、合わせて900円の消費税、という計算を(実際には課税期間のものを集計して)するのです。

複数税率対応のレジを導入していれば、この計算はレジが行ってくれます。レシートも「区分記載請求書等」の要件を満たしたものとなります。複数税率対応のレジを導入していない場合は、自分で手計算し、手書きで「軽減税率対象」などと書くことになり、とても面倒です。

また、経理処理については、会計ソフトへ入力する際もひと手間増えます。例え販売するものが標準税率対象の商品のみであっても、経費には軽減税率対象のものがあるでしょう。会議費のお茶や交際費の手土産菓子などです。いろいろなものを一度に購入した場合、1つのレシートに8%と10%の商品が区分して記載されているので、それぞれの税率ごとに分けて仕訳を入力する必要が出てきます。

自社で会計ソフトへ入力している顧問先であれば、担当経理の方の負担が大きくなります。そして、それをチェックする税理士の負担も……。税理士が代行して記帳しているのであれば、入力する税理士の負担増。正直とても大変になりますが、税理士って基本マジメで細かい方が多いと思うので(笑)、1つひとつチェックして、間違いを発見したら修正して……。それでも見落としや間違いがあるかもしれません。今回、経過措置や特例もいろいろあるので、税理士としてはお客様に損がないよう、あらゆる可能性を示して選択していただく必要があり、その負担も大きくのしかかります。

 

先日「週刊プレイボーイ」でも消費税増税についてお話させていただきました。

愚痴っぽくなってしまいました。いえいえ、文句ばかり言っても10月1日はやってきます。

次に、事業者への資金繰りの影響を考えてみましょう。免税事業者で軽減税率対象の商品を売っていない方は、当面4年間は益税が増えると思われます。単純計算で1.25倍です。

(ただし4年後のインボイス制度が始まると課税事業者にならざるをえないケースが多く、その場合は今後、益税はゼロになります。)店内飲食のレストランのように、売上が10%で仕入は8%の商品が多い業者は、当面の資金繰りはラクになります。ただし、「なんか最近儲かってるなぁ~」と勘違いしないように注意が必要です。あとで消費税の納付額がドーンときます。逆に、お弁当屋さん(テイクアウト)や農家のように、売上は8%で経費は10%のものがある業者は、当面の資金繰りは厳しくなりますが、消費税の納付額は小さくなります。輸出業者は売上の際消費税はもらわず、支払いの消費税はアップするので資金繰りが苦しくなりますが、消費税の還付額は大きくなります。

最後に、セミナー参加者からの質問を一つ紹介しましょう。「旅館業をしています。売店でお漬物を売っていて、たまに宿泊客が『このおしんこ切って部屋に持ってきて』と言うことがあります。この場合どうなりますか?」そんなお客様がいらっしゃるんですね。常連さんかもしれません。「正確には、『お客様、お部屋に持ち帰ってご自身で切って食べれば消費税は8%ですが、当ホテルの方で切ってお部屋にお持ちすると10%になります』ということになります。」でも実務上はどうでしょうね…常連さんだから、一旦レジではお持ち帰りで処理(8%)して、サービスで切って持って行っていくかもしれません。その場はよくても、今度その方が別の初めて行ったホテルで同様のお願いをして同じようにしてくれるとは限りません。そのときに「〇〇ホテルでは8%だったよ!」なんてクレームになったりして……。想像はどこまでも膨らみ、終わることがありません(苦笑)。

とりあえず私は、9月最後にはアイスクリームの買いだめと、子どもたちの定期券(半年分)の購入をする予定です。ではまた!

著者: 脇田弥輝

脇田弥輝税理士事務所/東亜大学大学院法学専攻非常勤講師

長男を出産後、会計・税法の知識ゼロから税理士を目指し、2013年税理士登録。税理士法人勤務を経て2016年脇田弥輝税理士事務所開業。「『外部の税理士の先生』ではなく、『内部の敏腕経理』と思って頂き、お客様とともに事業を成長させる」を理念とし顧問先と付き合う。著書に「ダンゼン得する知りたいことがパッとわかる 青色申告と経費・仕訳・節税がよくわかる本」(ソーテック社)がある。
■脇田弥輝税理士事務所
http://wakitamiki.work/
■子育てママ~専業主婦から税理士☆合格体験&お仕事日記
http://ameblo.jp/zeirisi-ni-naru/

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