みなさま、新年あけましておめでとうございます(もう1月も下旬ですが)。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
税理士試験の発表がありました。合格された方、おめでとうございます!!不合格だった方は残念ですが、改めて科目選択に悩むこともあるかと思います。科目選択に唯一無二の正解はありませんが、私の体験談をお伝えしたいと思います。

出版記念兼新年会。 3人とも税理士で、院免でした。

先月の記事で、合格発表後の科目選択について書きましたが、試験結果によっては大学院進学を検討する方もいらっしゃると思います。私自身、大学院で税法2科目免除を受けて税理士になり、現在は、大学院の非常勤講師として、税法免除のための論文の指導をしています。そこで、私の思う『大学院で税法免除を受けるメリット・デメリット』を書いてみたいと思います。

と言っても、はじめに断っておきますと、例えば「家はマンションがいいか戸建てがいいか」「賃貸か持ち家か」「ワーママか専業主婦か」などの議論と同様、これらは「どちらがいい」という正解はなく、人それぞれ考えが違います。

あくまでも私の考えであり、しかも「院免がいい」と言いたいわけではなく、「院免のいいところ、悪いところ」をなるべくフラットに述べるということをご理解ください。

それではいってみましょう。

メリット
① 税理士になる確実性が高くなる
② 税理士になるまでの目途が立ちやすくなる
③ 「どう調べればいいか」という力がつく
④ 横、縦のつながり、人脈が広がる
デメリット
⑤ お金がかかる
⑥ 法人税・所得税を取得していない場合、実務で引け目がある
⑦ 2年で修了するにはそれなりの覚悟が必要

まずメリット①について。大学院に入学した人のうち、6~7割くらいは2年で修了します。割合は院にもよりますが、全員が2年で修了できるわけでは決してありません。ただし、論文は、最後に提出して「合格か不合格か」が決まるのではなく、コツコツと調べて書いて、教授に見てもらって、直して、書いて、また直して、調べて、書いて…をきちんと続ければ、合格レベルの論文を書けるはずです(書き上げるまで続ける)。一方、税理士試験は、一生懸命コツコツ勉強を続けて模試でいい成績をとっていたとしても、当日の問題と相性が合わなかったとか、凡ミスをしてしまったとか、最悪、高熱で受験できないといったような、そういう、一発勝負のような怖さがあります。

大学院に入学すると、「あと何年この受験生活が続く(かもしれない)んだろう…」という途方もない気持ちは小さくなります(メリット②)。何歳までに何科目、何歳までに税理士になる、子どもが何歳までには正社員になる…など将来の目途が立てやすくなります。

また、暗記が多い税理士試験と違って、論文は覚える必要はありません。判例や学説などを、体系的に調べ、まとめ、論理的に構成して書くため、分からない事象にあたったときに「どう調べればいいか」という力がつきます(メリット③)。

そして、私だけでなく周りの大学院修了者がみなさん言うことですが、大学院でともに学んだ横のつながり、また、教授や先輩後輩たちとの縦のつながりなど、人脈が広がって、税理士になってからもお互いに協力し合えます(メリット④)。税理士になってからも税理士仲間はもちろんできるのですが、「税理士を目指す」同じ苦労を共に経験した仲間は、ちょっと違います。