税理士・税理士科目合格の転職希望者の中には、未経験業務にチャレンジして得意分野を増やしたいと、スキルアップを目指す人がたくさんいます。未経験分野へのチャレンジを目的とした転職の場合、どのような点に注意して転職活動を進めるべきか、転職事例をもとにご紹介します。

転職のきっかけ

32歳の税理士試験4科目合格者の男性。 大学卒業後、法人税務を中心とした会計事務所に勤務し、資格取得を目指して勉強をしながら実務経験を積んでいました。事務所の人数は数名で、中小・零細企業のクライアントが多く、経験できる業務にも限りがありました。将来的なスキルアップを見据えて得意な分野を増やしたいと考え、かねてから興味を持っていた資産税業務への挑戦を希望。未経験で資産税業務にチャレンジできる会計事務所を探していました。

求人選びのポイント

彼の場合、特定の分野で専門的なスキルを身につけられることを前提に求人選びをサポートしましたが、一方で、税理士資格を取得するという目標も見逃せないポイントでした。

そこで、未経験から資産税業務に関与できるだけでなく、資格取得を応援する体制が整っている会計事務所を中心に求人選びを開始しました。

選考通過のポイント

お人柄がよく、コミュニケーション力も高い方でしたので、面接は苦労しないと思われました。しかし、未経験の業務に挑戦する場合、どうしてそうしたいのかと言った明確な考えや、意欲は非常に重視されます。転職を考えるに至った経緯を整理し、論理的に説明できるよう、面接での受け答えについては事前にしっかりシミュレーションを行いました。

転職成功のポイント

彼の場合、過去に知り合いから相続について相談されたことがあり、それをきっかけに相続税など、資産税に関わる業務に興味を持っていました。また、今後ますます需要が高まる資産税の分野でプロフェッショナルを目指したいという高い志を持っており、勉強にも大変意欲的でした。

そこで、法人税務を6割、相続税を含む資産税業務を4割ほど担当できる中堅規模の会計事務所の求人をご紹介し、見事に内定を獲得。チームで業務を進めるためメンバーから学べる機会が多いという点や、研修制度も充実していたため、未経験でも着実にスキルを身につけられるというところが彼の希望にマッチしていました。法人税務の経験を活かしながら未経験分野にも注力できることが、心強くもあったようです。また、資格学校に通っているメンバーも多く、切磋琢磨しながら資格取得を目指せることも決め手となりました。
採用側の会計事務所からも、法人税務の十分な経験と、未経験分野に対する熱い気持ちや意欲を買われ、将来を期待されての採用となりました。

まとめ

未経験分野に挑戦してみたいという言葉は、転職希望者からよく耳にします。意欲的と捉えられる一方で、ある程度の具体性がないと何がしたいのかがはっきりせず、採用担当者の印象に残らず終わってしまうケースも少なくありません。具体的にどんな仕事をしたいのか、求人先の仕事内容を把握した上で、希望をまとめておくとよいでしょう。「現時点でこれはできないけど、これはできます」というような具体的なスキルを伝えられると、採用側もあなたを採用する具体的なイメージがわきやすいのでおすすめです。

また、未経験の業務に挑戦してみたいという気持ちはあるものの、希望の業務を絞り込めない、自分がどんな業務に向いているかわからないなどお困りの際は、自分の仕事観を整理してみるとおのずと方向性が見えてきます。自分はどんな分野に興味があるのか、クライアントの規模や業種にこだわりがあるのか、仕事をしている上でどんなときにやりがいを感じるのか、将来どんな税理士になっていたいのか・・・そしてこれらを考えるときには客観的な視点を持つことも重要です。

自分がどんなキャリアを積んでいくべきなのか、転職の時には誰もが不安になるものです。業界に特化した転職のプロは、多くの事例や実績を根拠に、あらゆるケースを想定したキャリアの提案が可能です。そうしたツールを使うのも、転職成功の秘訣かもしれません。