提出を省略できる書類もある

近年は、税制改正によって、国税関係手続きの簡素化が進んでいます。結果として提出を省略できる書類も増えてきています。

以下では、提出を省略できる書類にはどんなものがあるのかを解説していきます。

支払調書

報酬の支払いを行った場合、支払側は支払調書を税務署に提出しなければなりません。しかし、この支払調書を報酬を受け取った方に対して発行する必要はありません。

実務上、報酬を受け取った側に対しても支払調書を発行している事業者が多いことから、支払調書を確定申告書に添付しなければならないと考えている方も多いものの、支払調書は原則として添付の必要はありません。

2020年分以降の確定申告は源泉徴収票も不要に

2019年(平成31年4月1日)以後に提出する以下の申告・届出等については、住民票の写し等の各種書類の添付が不要となっています。

手続名 貼付不要となった書類
所得税申告(確定申告書及び修正申告書)
給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
オープン型の証券投資信託の収益の分配の支払通知書
配当等とみなされる金額の支払通知書
上場株式配当等の支払通知書
特定口座年間取引報告書
未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書
特定割引債の償還金の支払通知書
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例における相続税額等を記載した書類
相続時精算課税の贈与税申告
住民票の写し
障害者非課税信託申告
税理士試験受験資格認定申請
税理士試験免除申請
内国普通法人等の設立届出 定款等の写し以外の書類
なお、「法人課税信託の受託者となった旨の届出書」提出の際は信託行為の写し以外の書類
外国普通法人となった旨の届出 定款等の和訳以外の書類
収益事業の開始等の届出 定款等の写し・貸借対照表以外の書類
手続委託型輸出物品販売場許可申請 承認免税手続事業者の承認通知書の写し

これに加えて、2020年以降の確定申告では源泉徴収票の提出も不要となっています。

確定申告書Bの様式が変更となり転記の手間も軽減

さらに、2019年(平成31年)分以後の確定申告書を提出する際、給与所得者で「年末調整で適用を受けた各所得控除の額」と「確定申告で適用を受ける各所得控除の額」とが同額であるなどの場合には、所得控除の内訳の記載を省略できることとされました。

これによって、確定申告書Bの様式が変更となり転記の手間が大きく軽減されました。

確定申告をする際に源泉徴収票がない場合の対処法

上で説明したように、確定申告をする際には源泉徴収票の提出が不要となってはいるものの、確定申告書を作成するうえでは、源泉徴収票の金額と照らし合わせて確定申告書を作成する必要があることに変わりはありません。

そこで、確定申告をする際に源泉徴収票がない場合にはどうしたらよいのでしょうか?

一般に、会社員の方であれば、会社に再発行を依頼することで対応できます。

なお、この場合、再発行には時間がかかるため、時間に余裕を持って依頼をすることが大切です。

まれに、会社が倒産してしまったケースなどにおいて、源泉徴収票が発行されていない場合があります。

この場合には、源泉徴収不交付の届出書を所轄の税務署に提出することで解決できます。

確定申告の提出期限

2023年提出分の確定申告期間は、2023年2月16日(木)から3月15日(水)までとなっています。

確定申告の提出期限は毎年同じではあるものの、新型コロナウイルスの影響で申告期限が2022年提出分については1カ月延長されるなど、近年は期間の延長が認められてきました。

しかし、本原稿執筆時の2023年1月時点において、2023年提出分について延長が認められているという発表は国税庁からはありませんので注意してください。

確定申告書をミスなく正確に提出するには

確定申告をはじめて行うという方にとってはもちろん、確定申告を毎年している方であっても、毎年のように税制改正が行われているため、ミスなく正確に確定申告を行うのは難しい場合もあります。

そのような場合には、確定申告ソフトを利用するのもおすすめです。確定申告ソフトを利用すれば、質問に沿って回答していくだけで確定申告に必要となる書類を簡単に作成することが可能です。

まとめ

近年の税制改正によって、国税関係手続きの簡素化が図られていることから、これまで当然のように確定申告書類に添付してきた源泉徴収票の添付が必要なくなるなど、必要な手続きが従来とは変わってきています。

そのため、ミスなく確定申告を行うためには、自分の置かれた状況に応じて適切に確定申告書類の作成を行い、合わせて必要書類の添付を行わなければなりません。

確定申告書は提出期限が決まっていることから、時間に余裕を持って準備することが大切です。

確定申告の手間を省力化したい場合には、確定申告ソフトを利用することで、手間を減らせるうえに正確な確定申告書類の作成が実現できます。


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