FAS業務と経営全体を俯瞰する経営コンサルティングを融合したサービスを提供しているコーポレートアドバイザリー部の魅力とは。同社で働く公認会計士と税理士に取材をしました。
今回の実力派会計人は、公認会計士・船木陽介氏と税理士・込山大介氏。
それぞれ別の資格を持った2人の有資格者はなぜ、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに入社を決めたのでしょうか。
これまでのキャリア、そして同社の魅力に迫ります。
監査法人、税理士法人を経て辿り着いたコンサルティングの仕事
これまでのキャリアを教えてください。
船木:学生時代から、世の中を幅広く理解したいという思いがありました。
きっかけは高校生のときで、ディベート部で仲間たちと議論する中で社会制度について興味を持ち、企業の観点から社会問題にアプローチしたいと考えたからです。
その際に、どの企業にも共通している“会計”というワードが1つの大きな軸になり、その専門家として社会問題の解決にチャレンジしてみたいと思い、公認会計士を目指すようになりました。
大学3年生の頃から勉強を開始し、その後、有限責任監査法人トーマツに入所。
幅広く世の中を知りたいと思いつつ、まずはビジネスや経済の中心になる金融機関を担当する部署でしっかりと監査を勉強しようと、会計監査や内部統制監査業務に従事していました。
数年働く中で、米国会計基準という更に専門的なジャンルを担当したこと、この頃に修了考査に合格したこともあり、これからのキャリアを考えるようになりました。
次は、根底にあった幅広くビジネスを見て視野を広げることのできる環境に身を置きたいと思い、更に自分のスキルを磨き、新たな挑戦ができるコンサルティングファームに絞り、転職活動を開始したのが28歳の頃です。
現職に決めた理由は、様々な経営課題を抱えている中堅企業をクライアントにしており、経営者に寄り添い伴走しながら、戦略や組織再編など幅広い課題の解決に関わるという仕事内容に魅力を感じ、当社への入社を決めました。

込山:中学からエスカレーター式の学校に通っていましたが、大学生になり受験組と比較したときに、受験勉強をしていないことで、学力・知識面で劣っているなと感じました。
このままでは就職にも響くかも…なにか大学の時にできることはないかな?と考えたときに、資格を取ることを思いつきました。
資格の中でも、公認会計士など4年間全て勉強に注がないといけないような高難易度の資格ではなく、キャンパスライフを楽しむことも大切にしたかったので、コツコツと1科目ずつ受験できる税理士を目指しました。
正直、税理士がどういう仕事かをきちんと理解していない中で勉強をしていたのですが、ある税理士の先生から、「この仕事は、日本を支える中小企業の経営に関することなら何でも診てあげるような町医者のイメージ」と言われ、税理士の仕事は何て素晴らしいのだろう、自分もいつか町医者のような存在になりたいと、感銘を受けたのを覚えています。
大学院卒業後は、EY税理士法人へ
込山:町医者のような存在を目指していた私ですが、税理士は税金という法律の専門家。
まずはプロフェッショナルとして大手で経験を積もうと、入所を決めました。
ここでは6年半ほど勤務しましたが、30歳を前に、自分の今後の進路を考えるようになります。
“企業の経営に関することなら何でも診てあげるような町医者”になるために、もっと幅広いスキルを身に着けたいという結論に至り、中堅企業を対象とした経営コンサルティング会社に行こうと、現職への転職を決めました。
大手でも中小でもなく、中堅企業を希望したのは、経営者と仕事ができて、かつ、改革できるだけのリソースもある会社とお仕事をしたいと考えたからです。

FAS×経営コンサルが特徴!コーポレートアドバイザリー部の仕事について
現職で、特に印象的だったお仕事を教えてください。
船木:私たちが所属するコーポレートアドバイザリー部(以下、CA部)のサービスは、大きく4つに分かれています。1. M&A 2. 事業承継 3. 組織再編 4. その他、経営コンサルです。
私は、この中でも特に4. 経営コンサルでの仕事で公認会計士としての価値を発揮できたと感じています。数値データを元に現状分析を行い、中期経営計画の策定・営業戦略・事業戦略・経営企画などに携わってきました。
具体的にどのようなことをしているかというと、例えば、製造会社と販売会社の子会社を持っている法人の経営陣の中に、この製品「A」は儲かっているから次の中期経営計画でも主力製品にしたい、という考えがあったとします。
たしかに、製造会社だけ、あるいは販売会社だけを見ると儲かっているのですが、会社ではなく製品単位の連結ベースで分析をすると、製品「A」を売れば売るほど赤字になってしまう、という事実が発覚することがあります。
そうすると、製品「A」を継続して主力製品とするか否かが大きな論点になるので、中期経営計画の中で製品戦略を見直さないといけない可能性も出てきます。
そうした場面で、次の主力製品にして問題ないという事実を数値で示したうえで経営戦略を策定することが、公認会計士としての価値が発揮できる瞬間だと思います。
現状分析をするときにどの目線で行うかにもよりますが、製品戦略までを考えるのであれば、その前提となる基礎情報を分析し、必要とされる情報を数字という面から提供できるという意味で、公認会計士は大事な役割になると思っています。
また、経営者が意思決定をするためには、ベースとなるファクトを積み上げた上で経営者と議論を重ねていくことが大切です。
そのファクトがいかに精密であるか、そして、それらのつながりを深く考えることで新たな課題を見つけることが、コンサルタントのやりがいでもあり、クライアントの企業価値向上にも貢献できることだと思います。
込山:私は、コンサルタントとしてM&Aに関わったことが印象的であり、自身を大きく成長させてくれたと思っています。M&Aをする上で、売り手となるオーナーは会社を我が子のように考えています。自分の子供を良い相手に任せたい。まるで、大切な我が子を送り出すような気持ちだと思います。
私自身、フィナンシャルアドバイザーという立ち位置で携わらせていただいていますが、オーナーの話を深く聞いていくと、こうした本音が出てきます。私の役割としては、その気持ちを汲んで、買い手側にそれを説明しなくてはなりません。
今後の5年間をどのように経営していくのかなど、税理士としての視点に基づいた中期経営計画の策定はもちろん、それ以上に会社の良いところを売り手に説明しないといけないため、オーナーから普段は見せてもらえないような細かい資料も預からせていただくケースもあります。
このように深くクライアントに向き合うことができるので、当然成約になった際には感謝もされますし、またそのノウハウを次のクライアント業務に生かすこともできるので、1度その業種のM&Aを経験すると、その業界への理解を深めることが出来ます。
税理士・コンサルタントとしても、また総合力を上げるという意味でも、M&Aは必要なスキルで、そこも学べたというのが、印象に残っている理由です。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの魅力とは…
貴社の魅力と今後の目標について教えてください。
船木:教育や研修制度が充実しているのは、良い点だと思います。
入社後は、M&A業務が未経験の方でもしっかりと遂行できるように全8~10回の研修も用意していますし、講師も複数人ついて研修を行うなど、組織として“人を育てる”という社風が根付いています。公認会計士・税理士でM&Aが未経験の方でも、一人前のコンサルタントになれるよう組織としてサポートするので、安心だと思います。
1人あたり3~6件くらいのプロジェクトを同時に進めますが、働き方も基本テレワークで、裁量労働制でもあるので、働く場所・時間の自由度が高く、ワークライフバランスを重視しながら働くことが可能です。
私自身の今後の目標としては、総合力のあるコンサルタント、より幅広い経営課題に対応できるコンサルタントになりたいと考えています。
企業が持っている悩みはある分野に特化しているわけではないので、その企業と寄り添いながらあらゆる悩みを解決できるようになりたいですし、その中で、自分自身が得意と言える分野を更に増やしていきたいです。
込山:三菱UFJ銀行のネットワークを活用できる点は、魅力の1つだと思います。
独立系コンサルティング会社の場合、年次が上がると実務から離れ、新規営業に注力することになるケースが多いかと思います。
しかし当社の場合は、三菱UFJ銀行の営業担当が、クライアントに事前に話をしてくれるため、既に当社のサービスにご興味を持っていただいた状態でお話をすることができるため、スムーズな営業ができます。
営業活動に時間を割かないでよい分、実務に力を入れることができるので、全力でクライアントに向き合うことが可能です。
また、私自身の理想も総合力のあるコンサルタントになることです。
財務系に強いのはもちろん、「経営に関する悩みも助言できます」と言えるような“社外CFO”になりたいと思っています。
ドクターでいう、専門外でも初期診断ができるようなイメージです。まだまだ学ぶべきことはあるので、視座を高めて、視野を広く持つことを大切にしながら、頑張ります。
【編集後記】
取材・撮影中は終始アットホームな雰囲気で、お2人の共通の上司の話題にもなり、役職の垣根を超えてコミュニケーションが取れていることが伺えました。
会計のスキルを活かしながら、総合的な経営コンサルティングをするという、公認会計士・税理士というそれぞれの得意分野を活かしながら新たなチャレンジをしているお2人の姿が、印象的でした。
(取材・撮影/株式会社レックスアドバイザーズ 市川)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
●設立
1985年10月
●所在地
東京都港区虎ノ門5丁目11−2 オランダヒルズ森タワー
●理念
“Humanismに立脚し、RomanticismとRealismの両立を目指す。”
●会社HP