【パターン別】インボイス制度による簡易課税事業者への影響

最後に、インボイス制度が導入された場合、簡易課税事業者にはどのような影響があるかをパターン別に整理していきましょう。

簡易課税事業者であるケース

すでに簡易課税事業者である事業者は、インボイス制度が導入されても影響はありません。

自身が売手側、買手は個人であるケース

買手が個人(消費者)である場合、仕入税額控除を行うことはありません。

そのため、インボイス制度が導入されても影響はないと言えます。

自身が買手側、売手は課税事業者であるケース

自身が買手側で簡易課税制度を選択している場合で、売手が課税事業者であるケースにおいて、課税期間における課税標準額に対する消費税額にみなし仕入率を掛けて計算した金額が控除対象仕入税額となりますので、適格請求書などの請求書等の保存は仕入税額控除の要件とはなりません。

したがって、売手側である課税事業者はインボイスを交付してくれますが、自身は簡易課税制度を選択しているため、請求書と関係なく仕入税額控除を行うことができます。

この意味で、インボイス制度の導入による影響はありません。

自身が買手側、売手は免税事業者であるケース

自身が買手側で簡易課税制度を選択している場合で、売手が免税事業者であるケースにおいても、課税期間における課税標準額に対する消費税額にみなし仕入率を掛けて計算した金額が控除対象仕入税額となりますので、適格請求書などの請求書等の保存は仕入税額控除の要件とはなりません。

売手側である免税事業者は、適格要件を満たさない請求書を交付してくれますが、自身は簡易課税制度を選択しているため、請求書と関係なく仕入税額控除を行うことができます。

この意味で、インボイス制度の導入による影響はありません。

簡易課税事業者で影響を受けるケース

自身が売手側で簡易課税事業者である場合で、相手が買手側で適格請求書発行事業者である場合、相手側で仕入税額控除を行うことができません。

まとめ

自身が簡易課税制度を採用しており、買手側である場合には、インボイス制度の影響はほとんどうけないと考えることができます。

しかし、自身が簡易課税制度を採用している売手側で、取引先である買手側が適格請求書発行事業者である場合、インボイスを交付することができないため、取引先が仕入税額控除をできないことになります。


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