受給資格期間を満たしていない場合や年金保険料未納の場合には将来年金がもらえません。年金をもらえないと自身や家族の生活が困難になるかもしれません。追納や任意加入で期間要件を満たすなどして対策しましょう。
この記事の目次
年金がもらえないのはどういう時?
この章では年金がもらえない場合について、どのような場合なのかを解説します。
受給資格期間を満たしていない場合
65歳になると、一般的に「年金」と呼ばれる「老齢基礎年金」が国民年金から支給されます。
かつて会社員や公務員として働いたことがある人には、「老齢厚生年金」も厚生年金から併せて支給されます。
ただし、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取るためには、特定の要件を満たす必要があります。
これらの要件を満たしていない場合、65歳になっても年金は支給されません。
年金を受け取るための要件は、10年以上の「受給資格期間」を持っていることです。
受給資格期間が10年未満の場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方が支給されません。
年金保険料未納の場合
長い期間にわたって年金保険料を納付していない人も年金がもらえません。
ただし、免除申請が受理された人は除外されます。
将来年金がもらえないってホント?
将来年金がもらえないという話題を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
それは本当なのでしょうか?
老後2,000万円問題
リタイア後の生活では、公的年金が毎月の生活費の主要な源となります。
ただし、臨時の出費や一部の生活費には貯蓄を使用する必要があります。
夫婦として老後のために必要な資金として2,000~3,000万円程度の資金が必要と言われています。
旅行や特別な食事を楽しむためには、老後の資金がさらに必要になるでしょう。
大きな出費が予想される場合は、リタイア前に資金を準備するか、必要な対策を講じることが重要です。
また、生命保険や医療保険などを活用して、急な出費に備えることも重要です。
少子高齢化による世代間格差
現在保険料を納付している現役世代の人々が将来受け取れる年金額の見通しについて、社会保障審議会年金部会が5年ごとに検証を行っています。
この検証結果からわかるのは、現役世代では納付した保険料と将来の年金額との比率が低くなるということです。
公表から時間が経過していますが、2005年に70歳となる人の場合、受給額は5600万円であり、保険料負担額は680万円です。
つまり、受給額と保険料負担額の比率は約8.3倍です。同様に、2005年に30歳となる人の場合、受給額は9600万円であり、保険料負担額は3900万円です。
この場合の比率は約2.4倍です。
2015年に行われた試算でも、年金受給額において同様の世代間格差が生じることが示されました。
以上のように、受給世代と現役世代を比べると、現在の受給額と将来の受給額との間に差があります。
このことが、若い世代の人々における公的年金制度への不満となり、世代間格差の問題として浮上しています。
確実に年金をもらう方法は?
この章では確実に年金をもらう方法について解説します。
年金受給要件について
「受給資格期間」とは、国民年金の年金保険料を納付した期間のことを指します。
納付が難しかったために免除や猶予を申請していた期間も、受給資格期間として認められます。
現在は20歳以上60歳未満の人々は国民年金に加入することが義務付けられていますが、過去には任意加入の時期もありました。
この時期に国民年金に加入していなかった期間を「合算対象期間」と呼び、これも受給資格期間として計算されます。
保険料免除期間と合算対象期間を受給資格期間として計算することにより、保険料を滞納した期間が長い人でも年金の受給要件を満たすことができます。
ただし、保険料免除期間と合算対象期間は、保険料を納付していないため、年金支給額の計算には反映されません。
そのため、これらの期間が長いほど年金支給額は少なくなります。
また、厚生年金に加入し厚生年金保険料を納めていた期間は、国民年金保険料納付期間として計算されます。
厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれているからです。
受給資格期間が足りない場合の対策
この節では受給資格期間が足りない場合の対策について解説します。
追納や任意加入で期間要件を満たす
受給資格期間が足りずに年金を受け取れない人が保険料の免除や猶予を申請していた場合、最大で過去10年分の保険料を後から納付することができる「追納制度」があります。
これにより、受給資格期間を延ばすことができます。
また、60歳以降に国民年金に任意加入したり、厚生年金の適用事業所で働くことによって厚生年金に加入する方法もあります。
自分の受給資格期間を確認し、早めに対策を取るためには、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を確認することが重要です。
これにより、年金をまったく受け取れない状況を避けることができます。