2022年度税制改正で住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が縮小されました。2022年の年末調整は無関係でしたが、今回の確定申告では注意しなくてはなりません。※2023年3月17日加筆
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2022年度税制改正で住宅ローン控除が大幅変更
「年末の借入残高の1%は控除できる」
「合計所得金額が3000万円以下なら適用を受けられる」
2021年までの住宅ローン控除は、おおよそこのような内容でした。
しかし一昨年、会計検査院から次の点を指摘されました。
- 毎年の控除額が住宅ローンの借入利息を上回る「逆ザヤ」状態になっている
- 住宅ローンを組む必要のない人まで借入しているケースさえある
一方、近年のカーボンニュートラルの観点から、一般住宅よりも省エネ住宅や耐久性の高い住宅の購入を推し進めていく必要があります。
こういった複数の要因を背景に、2022年度税制改正で住宅ローン控除が大幅改正となりました。
2022年度税制改正の内容は、2022年以降に住み始めた分から適用されます。
つまり今回の確定申告から改正を意識しないといけないのです。
2022年分の確定申告の際、住宅ローン控除で注意すべき点は5つあります。
注意点1:控除期間と控除限度額
1つ目は控除期間と控除限度額です。
新築は、環境対応型かそうでないかで扱いが変わります。
新築:控除期間は同じ、控除限度額は変更に
2021年分まで、新築の場合の住宅ローンの控除期間と借入限度額借入限度額は次のようになっていました。
- 新築の一般住宅、省エネ住宅…控除期間13年、控除限度額4000万円
- 新築の認定住宅…控除期間13年、控除限度額5000万円
ここでいう「省エネ住宅」とはZEN水準省エネ住宅と省エネ基準適合住宅を、「認定住宅」とは長期優良住宅と認定低炭素住宅を言います。
一般住宅はそれ以外の住宅です。
いずれも消費税率10%への引き上げに合わせた需要減対策だったのですが、改正で2022年入居分以降、次のようになりました。
【引用元】No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)
2022年分の確定申告でのポイントは次の通りです。
- 控除期間は変わらず13年
- 一般住宅の借入限度額が下がる
- 省エネ住宅や認定住宅は控除額が同じか上がる
中古:控除期間も借入限度額も変わらず
一方、中古の控除期間と借入限度額は変わりません。
2021年入居分以前と同じく、控除期間は10年、借入限度額は2000万円です。
注意点2:年間の控除限度額
2つ目は、年間の控除限度額です。
こちらも環境対応型かそうでないかで扱いが変わります。
新築:年間控除限度額の引き下げ
控除期間と借入限度額を見ると「省エネ住宅と認定住宅ならこれまで通り」と感じるかもしれません。
しかし、年間の控除限度額は2022年入居分から下がります。
【新築の年間控除限度額】
区分 | 2021年 | 2022年 2023年 |
2024年 2025年 |
|
認定住宅 | 年50万円 | 年35万円 | 年31.5万円 | |
省エネ住宅
|
省エネ基準適合住宅 |
年40万円
|
年28万円 | 年21万円 |
ZEN水準省エネ住宅 | 年31.5万円 | 年24.5万円 | ||
一般住宅 | 年21万円 | 0円 (条件付きで年14万円) |
いずれも縮小ですが、環境対応型はそれでも多めに控除限度額が設定されています。
一般住宅は約半額に減らされます。
中古:「環境対策系かそうでないか」で異なる
中古住宅の年間控除限度額はこれまで一律20万円でした。
2022年分以降、省エネ・認定いずれかの住宅なら増えますが、一般住宅だと減ります。
【中古の年間控除限度額】
- 省エネ住宅・認定住宅…年21万円
- 一般住宅…年14万円