3ステップで解説!固定資産税の計算方法
ここからは、納税者の視点から固定資産税の計算方法を確認していきます。
固定資産税評価額は、納税者自身で計算しなければならないものではありません。
一般に、固定資産の価格は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて評価された金額を知事もしくは市町村長が決定したのち、固定資産課税台帳に登録されているからです。
したがって納税者としては、決定された固定資産税評価額をどのようにして知るかが重要となります。
そこで、納税者の視点から3ステップで固定資産税を計算していきます。
ステップ1:固定資産税評価額を調べる
まずは、固定資産税評価額を確認していきます。
固定資産税評価額は、課税明細書、固定資産課税台帳、固定資産評価証明書を確認することで確認することが可能です。
以下では、それぞれの地目に応じた、固定資産税評価額の確認方法について説明していきます。
土地の固定資産税評価額を確認する
正確な固定資産税評価額を知りたい場合は上の方法によりしかありませんが、それ以外にその土地の評価額を知る方法として、実勢価格、公示価格、基準値標準価格、相続税評価額などがあります。
評価額 | 評価額の使用目的 | 評価の概要 |
実勢価格(時価) | 売買価格の算定 | 実際の市場取引から形成される価格 |
公示地価 | 売買価格の算定 | 毎年1月1日時点における標準地の正常な価格。国土交通省により3月に公示される。 |
基準地標準価格 | 売買価格の算定 | 毎年7月1日時点における価格として9月に都道府県が発表 |
相続税評価額 | 相続税・贈与税の算定 | 毎年1月1日を判定の基準日として、7月1日に国税庁が公表 |
(筆者作成)
ただし、これらの評価額は固定資産税評価額そのものではありませんので、あくまでも代替の固定資産税評価額を知りたいというときに活用してください。
家屋の固定資産税評価額を確認する
家屋の固定資産税評価額は、以下のように計算されます。
- 家屋の固定資産税評価額=再建築費評点数×経年減点補正率×評点1点あたりの価額
ここでの再建築費評点数とは、同じ建物を新築した場合に必要となる建築費のことを言います。
木造、鉄筋などの構造、建材、設備の大きさや質に応じて点数は変わりますので注意してください。
一方、経年減点補正率とは、建物の経過年数によって生じる減価の度合いを知るためのもので、基準表によって算出されます。
最後に、評点1点あたりの価額とは物価水準や設計管理費などを考慮するためのもののことを言います。
これらを総合して、家屋の固定資産税評価額は算定されます。
家屋の固定資産税評価額は自分で計算するのは難しく、一般に4月頃に送付されてくる課税明細書を確認することで知ることができます。
償却資産の固定資産税評価額を確認する
償却資産とは、土地と家屋以外の事業で活用される資産のことを言い、法人税法上もしくは、所得税法上、損金または経費として減価償却額、減価償却費に参入されているもののことを言います。
簡単に言えば、会社で用いられていて、時間の経過で機能性が陳腐化したり使用になって価値が減価する資産を、償却資産と呼んでいます。
具体例を業種別に挙げると、次のようなものが償却資産に該当します。
(引用:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/shokyak_sis.html)
償却資産の価格などについては、申告及び調査によって決定されます。
そのうえで、償却資産課税台帳に登録されます。
課税台帳は、償却資産の保有者や納税管理人など、固定資産税の課税に直接関係する方であれば閲覧することが可能です。
一般に、償却資産については課税台帳を閲覧してその固定資産税評価額を確認します。
ステップ2:税金が軽減される「課税標準額」の計算を行なう
次に、課税標準額を算定していきます。
上記で説明してきたように、固定資産税評価額と課税標準額は同じとなるケースが多いです。
しかし、たとえば住宅用地における課税標準の特例措置や税負担の調整措置が適用されているケースでは、課税標準額は固定資産税評価額よりも低くなります。
課税標準額は、固定資産税の計算の基礎となるものなので、課税標準額が低くなれば固定資産税も安くなります。
ステップ3−1:住宅用地の軽減特例を確認
具体的には、宅地用地の課税標準額には、以下のような特例措置が設けられています。
住宅用地区分 | 固定資産税 | |
小規模住宅用地 | 住宅用地で住宅1戸につき200平方メートルまでの部分 | 価格×1/6 |
一般住宅用地 | 小規模住宅用地以外の住宅用地 | 価格×1/3 |
(参考:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/kotei_tosi.html)
ステップ3−2:新築住宅に対する固定資産税減額特例を確認
新築住宅についても、固定資産税の減額措置が設けられています。
新築住宅に対する固定資産税減額特例を適用した場合の固定資産税額は以下のように計算します。
- 新築住宅の固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%×1/2
この減額措置では、3年間(3階建以上の耐火・準耐火建築物については5年間)継続しますが、4年目からは本来の税額に戻ることになります。
まとめ
固定資産税の計算方法は、固定資産税評価額×標準税率が基本です。
ただし、固定資産税評価額は、課税標準額と同じになりますが、減税措置などが講じられている場合には、固定資産税評価額と課税標準額は一致しないことになります。
減税措置が講じられているケースでは、課税標準額にもとづいて固定資産税の計算を行なうので注意してください。
取材記事のお問い合わせはこちらから
◆最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。
◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします。
【メルマガを購読する】