新築住宅の購入を考えている方で、固定資産税をどれくらい払わないといけないかが気になる方は多いのではないでしょうか?この記事では、具体的な数字を用いて、新築住宅の固定資産税の計算方法を丁寧に解説します。

この記事の目次

新築住宅における固定資産税の計算方法

家屋の税額は、原則として、以下で説明する評価額(再建築価格)がそのまま課税標準額となり、これに固定資産税の税率である1.4%を乗じて計算することができます。

固定資産税額 = 課税標準額(固定資産税評価額)× 税率(※)

※税率は原則として1.4%で、地域によって異なります

以下では、固定資産税計算の基礎となる課税標準額(固定資産税評価額)がどのように計算されるのかを解説していきます。

新築住宅の固定資産税額計算の基礎

新築住宅のような家屋を評価して価格(課税標準額)を決定する場合、総務大臣が定める固定資産(家屋)評価基準に基づいて「再建築価格」を用いて計算します。

「再建築価格方式」とは、評価を行う家屋と同一の家屋を新築した場合に必要な建築費を算出する方法です。

実際に家屋の評価をする際には、これに1年分経過した減点補正等を行って家屋の評価額を求めていきます。

具体的に言えば、まずは家屋ごとの現地調査が行われます。

現地調査では、たとえば、屋根・基礎・外壁・柱・内壁・天井・床・建築設備等各部分別に仕上げ資材、施工の程度等が確認されます。

次に、評価基準に示されている評点数を使って、平方メートルあたりの再建築評点数を算出します。

その後、評点1点あたりの価格を乗じることで再建築価格が算出されます。

これに1年分経過したことで生ずる減点補正等を行って評価額が算出されます。

このプロセスを簡単な計算式で示せば次のようになります。

評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率

この評価額に対して税率を乗じて、固定資産税あるいは都市計画税の計算を行います。

新築住宅における固定資産税の計算方法

新築住宅のような家屋とそれを建てる場所である土地については、原則として、基準年度(3年ごと)に評価替えを行って、賦課期日(1月1日)における価格を固定資産課税台帳に登録します。

したがって、新築住宅の価格は3年間変わらないことになりますが、以下のようなケースに該当する場合は、価格の再評価が行われることになります。

  1. 新たに固定資産税の課税対象になった土地もしくは家屋
  2. 土地の地目(※)の変換、家屋の増改築などの事情で、基準年度の価格が評価額として適当でない場合は、新たに評価を行い、価格を設定します。
    ※地目とは、土地の利用目的のことを言います

固定資産の課税標準額と評価額は一致しますが、一般に住宅用地のように課税標準の特例措置が適用される場合など、課税標準額と価格が一致しないケースも多くあります。

特に、新築された住宅は、その翌年から、木造住宅は3年間(認定長期優良住宅は5年間)、耐火構造および準耐火構造の3階建以上の住宅は5年間(認定長期優良住宅は7年間)、家屋の固定資産税が減額される優遇制度が用意されています。

新築住宅の税制上の優遇を踏まえたうえで、新築住宅における固定資産税の計算を具体的な数値を用いてシミュレーションすると以下のようになります。

なお、条件も以下のとおりです。

  • 構造・種類: 木造2階建て、専用住宅(都市計画区域内に所在)
  • 建築年月日: 令和3年6月20日
  • 延床面積: 150.00平方メートル
  • 令和4年度の課税標準額 : 20,000,000円

(1)まず、本来の税額を計算していきます。

固定資産税 20,000,000(課税標準額)× 1.40%(税率)= 280,000円 (A)

都市計画税 20,000,000(課税標準額)× 0.25%(税率)= 50,000円 (B)

合計(A)+(B)= 330,000

(2)減額される税額

固定資産税 20,000,000(課税標準額)× 1.40 %(税率)× 120 / 150(減額部分)× 1/2(減額割合)= 112,000円(C)

※家屋の延床面積が120平方メートルを超える部分については、120平方メートルに相当する固定資産税額が減額されるので、120(減額範囲)/ 150(延床面積)を乗じて固定資産税額を計算しています

(3)減額適用後の税額

固定資産税 280,000(A)- 112,000(C)= 168,000円(D)

都市計画税       50,000円(B)

合計(D)+(B)= 218,000

新築住宅における固定資産税評価額の決定方法

さらに、新築住宅における課税標準額(固定資産税評価額)について、よくある質問に回答していきます。

新築の場合、家屋調査はいつするの?

新築住宅が完成したあとで、地方自治体の職員が固定資産評価基準に基づいて、間取りや各部屋の仕上材料、設備などを調査したうえで、課税標準額(固定資産税評価額)を算定します。

通常、新築住宅が完成したことが確認されたあと、手紙もしくは電話で訪問日時の連絡が来ます。

その後、家屋調査が実施されます。

通常、訪問日の約10日から2週間前に連絡が来ます。

調査方法は原則として直接拝見することになりますが、建物の外部(屋根・外壁・基礎など)、内部(床・壁天井の資材など)および電気や給排水設備などを確認することもあります。

家屋の大きさや構造によるものの、家屋調査の所要時間は説明を含め30分から1時間程度が普通です。

家屋調査の結果に基づいて、総務大臣が定めた固定資産評価基準を使って評価額が算出されます。

この評価額は、実際に家屋を新築した時の建築価格とは関連が無いもので、あくまでも家屋の固定資産税額を算出するために用いられるものです。

固定資産税評価額の再調査はいつ?再審査もできるの?

固定資産税評価額は、3年に一度再評価が行われることになっています。

評価額に納得がいかない場合は、不服申告を行うことも可能です。

新築住宅・宅地は軽減措置が受けられるの?

新築された住宅用家屋(新築住宅)のうち、要件に該当していれば家屋の延床面積が120平方メートルまでのものについてはその全部、120平方メートルを超えるものについては、120平方メートルに相当する固定資産税額が一定期間にわたり2分の1に減額されます。

なお、都市計画税は減額の対象ではないので注意してください。

減額される範囲

120平方メートル以下の場合 2分の1
120平方メートルを超え280平方メートル以下の場合 120平方メートル相当分について2分の1
(120平方メートルを超える部分は減額されません)

減額される住宅の要件

住宅の種類 床面積
専用住宅 50平方メートル以上280平方メートル以下
(一戸建て以外の貸家住宅は、40平方メートル以上280平方メートル以下)
併用住宅
(居住部分の割合が2分の1以上)
居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下

減額される期間

住宅 減額期間
3階建以上の準耐火構造及び耐火構造住宅 新築後5年間
一般の住宅(上記以外) 新築後3年間

なお、減税を受けるためには、新築住宅を建築した年の翌年1月31日までに、各地方自治体の資産税課に対して「新築住宅に係る固定資産税減額申告書」を提出してください。

通常は、新築住宅の評価のために資産税課の職員が行なう家屋調査の際に、申請書を受け取ることができます。