個人事業主にとって、資金繰りは避けては通れない事柄である。日々、案件をこなし、ようやく利益が確保できたと思っても、翌年には税金の支払いが待っている。そのため資金繰りを安定させ、事業を軌道に乗せるうえで、節税は非常に重要な意味を持つ。そこで今回は、必要経費の計上時期について、節税につながるポイントを解説しよう。

■節税の基本は経費から
節税は重要。頭では理解していても、事業主という立場であれば、忙しい毎日のなかで、経理処理に時間をかけるのはなかなか難しい。そんなときは、必要経費から見直してみてはいかがだろうか。ご存知のとおり、税金は収入から費用を引いた利益額をベースとして計算される。そのため、経費を漏れなく計上することで、自然と利益は圧縮されることとなる。
たまに節税だけを目的として、不必要な支出を勧める内容の記事を見かけるが、支出ありきで考えると、場合によってはキャッシュフローを悪化させてしまうことにもなりかねない。それよりも、すでに行っている支出について、適切に経費計上されているかチェックするのが基本だ。
そして、節税につながる経費計上のポイントのひとつに、経費の計上時期がある。経理処理にあまり神経を使っていない場合、キャッシュアウト時に経費として処理をしがちである。しかし、現金主義の特例を適用している場合等、例外はあるものの、必要経費となる金額は、原則的にはその年において債務の確定した金額とされており、たとえ支払いがまだであっても、要件を満たせば、その年の経費として計上できるのである。
▼国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2210.htm
では、「その年において債務が確定している」状態とはどのようなものを指すのか。
■「その年において債務が確定している」状態とは
国税庁の説明によると、「その年において債務が確定している」とは、次の3つの要件を全て満たす場合のこととされている。
(1) その年の12月31日までに債務が成立していること。
(2) その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。
国税庁の説明とはいえ、この説明では少々わかりにくい。誤解を恐れずにざっくり言うと、その年の12月31日までに(1)契約が成立しており、(2)その契約に基づいて商品の納品やサービスの提供を受けており、(3)購入した商品又は受けたサービスの代金の金額が分かっている場合は経費にできるということである。
■支払時期と経費算入時期は異なっていてもOK!
たとえば年末に接待を行い、その支払いをクレジットカードで行った場合、カードの使用時は年末であるが、実際にその費用が引き落とされるのは年明けとなる。この場合、接待費用は接待を行った年の費用として確定申告に含めるのがよいのだろうか。それとも、引き落とされた年の費用になるのだろうか。どちらになるかにより、その年の税金の支払いは大きく変わってくる。先ほど見た要件に当てはめて考えてみよう。
カードで支払いを行った時点で、契約は成立し、商品及びサービスの提供はすでに実行され、代金も判明している。よって、要件を満たしているため、この接待費用は、カード会社の引落とし日ではなく、接待を行った日に必要経費として計上されることとなる。このように、経費の計上時期に気を配ることで、税金の支払いを軽減し、ひいては資金繰りの安定化につなげることができるというわけだ。みなさんも一度、経費を落とす時期を、見直してみてはいかがだろうか。




